2年が経過した特定秘密保護法。もしも知らぬ内に違反をしていたら? (2/2ページ)
基本的には、犯罪の成立と処罰対象が明確化できて、被告人の防御に大きな支障がなければ,違法ではないと考えられます」(星野宏明弁護士)
「これは、特に捜査の初期(逮捕)段階では、一般に捜査機関も犯罪の詳細まで把握できないことがあり(詳細を捜査するために逮捕するのです)、あまりにも厳格な特定を求めると、捜査・治安維持に不都合が生じるためです。例えば、被害者がいない覚せい剤使用事案では、『5月1日から5月8日頃までの間』『東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県またはその周辺において、覚せい剤を使用した』というレベルの特定だけで被疑事実が記載されることが多いです。被害者がいないため、詳細は特定できないが、犯罪が成立するための要件が立証できれば、それでよいのです。」(星野宏明弁護士)
なるほど。確かに全てを把握した状態で逮捕しなければならないとなると、色々と問題が出るだろう。逮捕は、その行為が犯罪であるということが証明できれば問題はないという。
■最後に…
では特定秘密保護法違反も、その漏洩した情報が何であるかを明確にすること無く、漏洩したという事実さえ確かであれば、問題ないということだろうか。
「特定秘密について考えてみると、処罰対象の明確化の観点からは、ある特定秘密がたしかに存在し、それを漏えいした、ということさえ記載されれば、最低限足りると思われます。あとは個別事案ごとに、例えば問題となっている秘密の件数が多い場合には、いつどの秘密漏えいの件を処罰しようとしているのかを明らかにする必要が生じることもあるでしょう。実際の刑事裁判の実務がどう動いていくかは、個別の事案ごとに、弁護人からの特定の求めと裁判所の判断次第となります」(星野宏明弁護士)
2015年時点で、政府が指定した特定秘密保護法の対象となる情報は433件、27万2020点に及ぶという。そしてこれを衆参各8人の委員で審査するのだが、依然としてその体勢は疑問視されている。私たちには、この特定秘密保護法が正しく運用されているかどうか、引き続き注目しなければならない。