被災住民を見殺しにした金正恩氏…再現された「地獄絵図」 (2/2ページ)
こうした人命軽視の姿勢に対して一部の住民からは怨嗟の声が出ているが、当然のことだろう。
それでも「北部地域被害復旧戦闘」は進み、11月はじめには会寧市に1800戸、茂山郡には1500戸、延社(ヨンサ)郡には500戸の住宅が建てられたが、ここでも新たな問題が起きる。北朝鮮当局は出身成分が良い被災者に優先的に住宅を割り当てたのだ。
あり得ないトイレ事情「出身成分」とは、「親の職業は何であるか」「過去、身内に反体制分子はいなかったか」など、出自や家庭環境をもとに国民を上から「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」の3階層に分け、それをさらに50前後のカテゴリーに細分化したものだ。北朝鮮国民はそのうちのどこに属するかによって居住地、職業、食料の入手、公共サービスにおいて大きな差をつけられてきたが、今回も同様のことが起きた。
核心階層には、好条件の被災住宅が割り当てられる一方、それ以外の被災者、例えば家族に脱北者がいる被災者は後回しにされたうえで、ハーモニカ住宅(1棟に4戸が入る長屋)や、マンションの最上階を割り当てられた。最上階というと聞こえはいいが、実は電力事情の悪い北朝鮮では最も条件が悪い。金正恩氏の肝いりで建てられたマンションにおいても、信じられない方法で「トイレ(汚物)問題」を解決する住民がいるほどだ。
なによりも金正恩党委員長は、「解放後初の大災難」が起きていたにもかかわらず、第5次核実験を強行し中距離弾道ミサイル「ムスダン」の試射を行っていた。災害の裏に隠された人災に加えて、その後の対処不手際による二次災害。さらに、復旧事業における差別的施策など、何から何まで国民の生命と安全を軽視し、人権を無視するのが金正恩体制の本質なのだ。