生物と機器を融合。米陸軍が研究中の「合成生物学」を利用した新たなる技術

カラパイア

生物と機器を融合。米陸軍が研究中の「合成生物学」を利用した新たなる技術
生物と機器を融合。米陸軍が研究中の「合成生物学」を利用した新たなる技術

[画像を見る]

 最近、“合成生物学(synthetic biology)”や”バイオハイブリッドシステム(biohybrid system)”という言葉が取り沙汰されている。合成生物学は、生物を改変させ、生物と非生物システムに組み込むことで、素材を合成したり、人間の能力を向上させたり、あるいは環境センサーや自律的バイオハイブリッドデバイスの制御などを生み出す技術である

 アメリカ陸軍研究所(US Army Research Laboratory/ARL)などの研究が予定通りに進めば、10年内にこの技術は科学技術のメインストリームへと躍り出るという。

・改変DNAを様々なシステムに利用する未来
 「合成生物学の進歩によって、生物を電子機器の制御に利用する方法も見えつつあります」と話すARL(アメリカ陸軍研究所)のブリン・アダムズ博士は、改変DNAを様々なシステムに利用する未来について予見する。

 こうした研究が進めるのは、細菌の遺伝子を改変して生物学な味覚や嗅覚を与えることで、高度な生体センサーとして電子機器と連動させられるようにすることだ。

 さらに様々な種類の微生物がそれぞれを補い合うような、共生システム的に機能する微生物グループの作成も可能かもしれない。最終的なゴールは、共同性と耐性を高め、まるで木材のように生物学的構造素材を3Dプリントすることである。

 合成生物学の分野が勢いをつけ始めたのは、素早くかつ安くDNAの配列決定と合成が可能になった2000年代半ばの話だ。こうした進展のおかげで、研究者は根本から生物をデザインする方法を理解するようになった。

[画像を見る]

 これまでARLは10年以上も自然の生物を工学システム(バイオ燃料生産システムなど)に利用してきた。しかし、合成改変細胞を生物や非生物システムに組み込むことの難しさは桁が違う。

 生物は、光合成できるようなものですら、安定した栄養の補給を必要とする。これが途絶えれば、成長や分裂を止め、休眠状態になったり、胞子を形成したりと、それ以上機能しなくなってしまう。

 そこで環境に対する細胞の反応を理解するために、DNAを読み出すことが必要であった。その結果、ようやく細胞内の改変遺伝子回路には頑丈なキャリア細胞、ARLが言う”シャーシ”が必要であることが判明した。

[画像を見る]

アメリカ陸軍研究所のブリン・アダムズ博士

 これまで合成生物学でシャーシとして用いられてきたのは概ね大腸菌であった。アダムズ博士の論文では、大腸菌を非生物(鉱物、土壌、水、金属)に組み込む実験が紹介されている。しかし、これらの株は実験室以外の環境で生存できるほど強くない。

 現在直面している最大の課題とは、この問題をクリアした実用に足るだけの別のシャーシを見つけ出さなければならないことである。

 その候補となる細菌は、転写を行い、環境の刺激に応じて繁殖やタンパク質の産生ができるものでなければならない。その発見へ向けた第一歩として、ARLはMIT(マサチューセッツ工科大学)をはじめとする様々な研究機関と提携して調査を進めている。・改変細胞を生体システムに組み耐性のある兵士を創出するのが目標
 そして5年以内には、改変細胞を生体システムに組み込めるようになると予測する。陸軍は、改変細菌を応用して人間の能力向上を試みるだろう。強く、速く、感染症に耐性のある兵士を生み出すことが目的だ。

 また今後10年では、非生物機器の中でシンプルなセンサーやアクチュエーターとして働く微生物が登場するかもしれない。

 アダムズ博士は、微生物によって制御され、修理までしてもらう自律型のバイオハイブリッドデバイスが彼女の生きている間に開発されるのではないかと考えている。現在この分野で一歩先を行くアメリカであるが、やがて他の国々でも開発が加速されるだろうとのことだ。


via:redditarstechnica


 改変された細菌のDNAが組み込まれた機器を入れた人間とか、SFの世界の話じゃないのかよ!っていうぐらいびっくりなんだけど、それが5年以内で実現可能とか、おもえば未来に生きてきてんだなって感慨深いものだよ。人造兵士とか見られる日もそう遠くないのか。


画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
「生物と機器を融合。米陸軍が研究中の「合成生物学」を利用した新たなる技術」のページです。デイリーニュースオンラインは、海外などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る