1年で300人を虐殺、性的虐待も横行…金正恩「親衛隊」の内幕 (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

B氏は、省の組織構成上、「『局』の下に『部』が存在し、部長だけでも500人に及ぶ」と明かした上で「たとえば保安省の監察局には1部から26部まである」とし、「全体のトップと一部署の長の呼称が同じ『部長』では混乱を招くため、組織名を『省』に、トップの呼称を『相(長官、大臣)』とすることにした」のが内幕だというのだ。

さらに「内閣の教育省、貿易省などと混同してはならない」と、依然として北朝鮮の中で保衛省と保安省の両省は特別であることを強調している。なるほど、筋の通る説明ではある。

そもそもこれらの組織、特に保衛省の実態は、その知名度の割に余りよく知られていない。北朝鮮住民ですらも逮捕されない限り漠然としか分からないし、管理所に至っては、一度入ったら出てくることは至難の業である。

ちなみに、デイリーNKジャパンは今年10月に発表したムック『脱北者が明かす北朝鮮』の中で、保衛部元中佐の脱北者、崔見準(チェ・ヒョンジュン)氏のインタビューを行い、その一端を明らかにしている。

先の「新東亜」の記事に戻ると、金正恩氏の時代になってからの保安省、保衛省の変化についてA、B氏ともに「容赦が無くなった」と口をそろえる。

A氏は「『不純分子は引き裂いてしまえ』、『公開処刑で人民の目を覚ませ』という指示が2012年に保衛部(当時)に下達された。一年で300人以上の幹部と住民が公開処刑された」とする。

一方、B氏は「反国家犯罪が明らかになる場合、先に裁判もせず殺してから後で報告するという点が、金正日時代と変わった点」と明かす。

保衛省と保安省どちらが恐ろしい存在かという「新東亜」紙記者の質問にB氏は「どちらも怖い」としながらも、「国境地帯に住んで、脱北をしようとする住民は保衛省の方が恐ろしいはずだ。だが、人民の生活に直接影響をおよぼすのは保安省だ」と説明する。「保衛省は政治的な理由が無い限り逮捕しないが、保安省はどんな理由でも逮捕する」というのだ。

また、取り調べの苛烈さについても言及している。「食事もトウモロコシに大豆や汁物しか与えず、栄養失調で倒れる収監者が多い上に、調査官から殴る蹴るの暴行はもちろんのこと、足の間に木の棒を挟んで座るなどの加虐行為が行われている」とする。看守によるレイプも頻繁に起きているとA氏は証言する。

結局のところ、名前が変わっただけで、住民を抑えつけるその役割は変わっていないということだ。金正恩氏の恐怖政治を今も支えているのは、紛れもなく保衛省と保安省の両機関なのである。

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