金正恩氏、銃殺前に身の毛もよだつ「見せしめ」演出を指示か (2/2ページ)
結果的に、部長の言葉は金正恩氏の言葉を否定したという形になり、最高尊厳の権威を毀損したという罪に問われ、逮捕されることとなる。
情報筋は言及していないが、泣く子も黙る拷問部隊である国家安全保衛部が摘発に絡んでいただけに、激しい拷問が加えられたことは想像に難くない。しかし、彼に対する残酷な仕打ちはこれだけで終わらなかった。
昨年末に平壌で開催された第1回全党初級党委員長大会の閉会式の場で、身の毛もよだつ演出が行われたのだ。部長は縄を腰に結ばれた状態で人々の前に引きずり出され、跪かされた。連行される際には、立たせてもらえず跪いた状態だった。そして、金正恩氏は次のような指示を出したという。
「このような者を葬る場所は、この地にはない」
部長は、連行後に某所で銃殺されたという。盛大に行われる大会という公の場で金正恩氏が直々に事実上の死刑宣告を下すとはにわかに信じ難い話だ。しかし、彼ならやりかねないという気もする。
金正恩氏は一昨年、スッポン養殖工場の視察中に激怒し、支配人を銃殺させた。北朝鮮メディアは、そのときの様子を動画で公開している。それを見ると、正恩氏の前でこわばった表情で直立不動の姿勢を取る職員たちや、泣き顔のような表情をする老幹部らしき人物が映っている。まさに「見せしめ」以外のなにものでもなかった。
今回、銃殺された部長は本来、初級党委員長大会に参加するクラスの人物ではなかったというが、あえてこのような演出を通して、参加者に恐怖心を植え付ける狙いがあったと見られる。大会の参加者は情報筋に、「部長の姿を見た参加者は、ヒヤヒヤして何も言えなかった」と伝えた。
金正恩氏は、これまでどちらかといえば指導層を中心に統制を強めてきたが、今回漏れ伝わってきた無慈悲な演出は、地方や一般庶民にも恐怖政治を強めるという宣言なのかもしれない。