アメリカ新大統領トランプ氏の”対中強硬路線への不安”|やまもといちろうコラム (2/2ページ)
■トランプ政権の余波
トランプさんは政治家としてのキャリアは皆無であるため、いわゆる外交的な立ち居振る舞いについては無知である前提でいろんな観測があったわけなんですが、大統領就任前の面白演説の際にもロシアとの関係が突っ込まれたり、CIAなど身内である情報部門との対立がうさわされる以上に「一定以上、状況を分かってて中国との対立構造を演出しているのではないか」と見られる節があります。そのひとつが台湾接近と「一つの中国」の原則を正面から正論で踏みにじるトランプさんのアプローチです。
トランプさんはアメリカに尊厳を取り戻し、保護主義的な経済アプローチを目指すと大統領選のころから主張を続け、中国の経済政策を強く批判したうえで、45%の関税をかけると言い放って閣僚人事でも対中強硬派を揃えているところを見ると、駆け引きとかブラフではなく正気かつ本気で中国との対立政策を実施する可能性は高いのではないかと予想されます。
正直、米中の経済においては呉越同舟的な互恵関係がある中でトランプさんの強硬策が本当にアメリカの国益に資するのかというのはいまの段階では良く分かりません。ただ、それがおそらく必ずしも合理的な選択とは思わない層がアメリカ人にも多く、メディアとも対立している現状を見るに「見返りが少なく分の悪い賭け」であるようにも感じられます。
ある意味で、酔っ払いドライバーの助手席に乗せられているのが日本だとも言えるわけで、ここで本格的に米中経済断絶でも起きて中国に深刻なリセッション(不況)が発生すると、一番最初に経済失調の波をかぶるのは他ならぬ日本であります。
そういうこともあって、急な不況でも大丈夫なような準備だけは粛々とやっておく必要があるんじゃないかと思いつつ、まだ心のどこかで「トランプさん、実は穏便な経済政策をやる人だった」というどんでん返しがあるんだろうかねえ、と、うっすらとした希望を持ってたりする乙女心が止まりません。
いやー、どうにかならないものですかね。
著者プロフィール

ブロガー/個人投資家
やまもといちろう
慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数
公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)
やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研