プロレス解体新書 ROUND37 〈究極の外国人頂上対決〉 東京ドームが揺れた喧嘩マッチ (2/2ページ)

週刊実話

ベイダーの投げっぱなしジャーマンで意識の飛んだ猪木に対し『ガンバッテーガンバッテー』と檄を飛ばしながらベイダーハンマーの連打で試合をつなぐと、最後は背中に当たった延髄斬りで一回転してのフォール負け。引退を間近に控えた猪木に対する、ベイダーの心遣いがうかがえた試合でした」(同)

 全般的な能力の高さがあったからこそ、新日本に始まりUWFインターナショナル、全日本、ノア、さらには米国でもWCWにWWFとさまざまな団体を渡り歩き、いずれも頂点に君臨することとなった。
 「引く手あまたの中、契約違反まがいのことも何度かあったようですが、それでも団体側が使いたくなる価値が高い選手だったわけです」(スポーツ紙記者)

 晩年にはハッスルなどのエンタメ系や、一般には誰も知らないような“どインディー団体”にも精力的に参戦した。
 そんな幅広いキャリアを誇るベイダーが、自ら『男と男の闘いだった』とベストバウトに挙げるのが、'90年2月10日、新日本の東京ドーム大会『'90スーパーファイトIN闘強導夢』におけるスタン・ハンセン戦である。“ベルリンの壁崩壊”とも称された全日本勢の参戦や、大相撲から転向した北尾光司のデビュー、橋本真也の「時は来た!」発言など…話題山盛りだった同大会の中にあっても、ベイダーとハンセンによる外国人頂上決戦はひときわ熱い闘いとなった。

 ベイダーの持つIWGP王座に、ハンセンが挑戦する形で組まれたこの試合。すでにベテランの域にあったハンセンだが、挑戦者らしくゴング前から猛然と突っかかっていく。これにベイダーも応じると、試合序盤から激しい肉弾戦が繰り広げられた。
 ベイダーハンマーがラリアット気味にヒットすると、お株を奪われたハンセンは目の色を変えてパンチ、エルボーを乱れ打ち。そんなハンセンをグラウンドに捕らえたベイダーだが、そこで異変が起こる。
 やにわに立ち上がったベイダーはコーナーにもたれかかると、かぶっていたマスクを脱ぎ捨てたのだ。その右目はドス黒く腫れ上がり、ほとんどふさがった状態。マスクを脱いだのは視界を確保するための緊急措置だった。
 会場内のオーロラビジョンにベイダーの姿が大映しされると、そのただならぬ様子を察した観衆からどよめきが起こった。だが、そんなアクシデントさえも2人は意に介することなく、さらに試合は激しさを増していく。

 驚愕に値するドロップキックまで披露して、むしろいつも以上の動きを見せるベイダーに対し、ハンセンもついに“伝家の宝刀”ウエスタン・ラリアットを抜くが、これは勢いを欠いて倒すまでに至らない。
 闘いの場をリングの外に移しても、互いのプライドと団体の看板を懸けた殴り合いは収まることなく、ついに両者リングアウトの裁定が下された。

 完全決着ならずとも観客に不満の声はなく、それどころか逆に大歓声が送られたのであった。なお、この試合の評判は本場の米国にまで届き、のちになってWCWのリングで両者の対戦が再現されている。

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