「頭が高すぎる集金人」嫌われJASRACの一生|やまもといちろうコラム (2/2ページ)
■JASRACの嫌われっぷりも大問題
そのような問題はなぜ起きているのかというと、今回の騒動の代表格であるYAMAHA音楽教室は特にそうなのですが、それなりに音楽スクールで売り上げがあって、J-POPのようなJASRAC管理曲を使って運営しているにもかかわらず、財団法人の運営であるから、教育目的だとして演奏権には入らないと言い切っている点にあります。ダンススクールやカルチャーセンターについては、欧米と同じく著作権料は支払うのが通常ですし、これらの音楽教室は学校教育法で利用料を免除されるものでもないため「J-POPなどで生徒を集めて営業しているなら金払えよ」ぐらいのことは言われても仕方がないだろうと思うわけです。
しかも、YAMAHA音楽教室自身が、公式に「法的な意味における『学校法人』には該当しません」としたうえで「専門学校、各種学校にあたらないため、学校教育法において認められる学校へ通学するための奨学金や、交通費の学割の対象にはなりません」と明記しています。YAMAHAの音楽文化への貢献は間違いなく多大なものがあると思うのですが、学校法人ではなく商売としてやっているからには、包括契約かどうかはともかく幾らかは権利者に利用料位払った方が良いんじゃないの、という気もします。
※ヤマハ音楽教室
http://www.yamaha-mf.or.jp/ongakuin/admission/fee.html
しかしながら、ネットでは「JASRACが悪い」一色になっていて、どうにも旗色が悪そうです。これが例えばAdobeやMicrosoftのソフトをスクールが正規の製品として使わずにコピーしてたら裁判所に真っ二つにされる案件です。
やはりこの辺は、冒頭でも述べた通り、お金を集めるJASRACが嫌われ過ぎていてどうしようもないってことなんじゃないかと感じます。人からお金を出してもらうにあたって、本音や権利関係はともかく頭を下げたり、恐縮です的スタイルがきちんと見られなければそりゃ反発買うよなあと。私たちのNHKだって聴取料を取られるときとっても腹立つのは事実だけど、でもよく考えたらNHKには随分お世話になっているし、払うか、となるわけですから、JASRACならなおさらです。
突き詰めれば、YAMAHA音楽教室やその他これらのスクールが著作権料・利用料を払うかどうかを判断するのはもちろん、法廷でやってもらうのが一番なんでしょう。また良く分からん判決が出ることはあるかもしれないけど。ただ、その過程として、いまの交渉が包括契約で2.5%というのが妥当なのかどうか、教室で教練用に使う楽曲なら全量報告できるはずだから交渉しろとか、本当に音楽文化に貢献している自負があるなら税制面や管理面で多少持ち出しがあっても学校法人資格を取って堂々と著作権料免除を勝ち取るとか、そういう方法が検討されてしかるべきなのではないかと思うわけです。
「なんかすっきりしない」というよりは、いまの法律の下ではそこまで酷いことを言っているわけでもないJASRACが叩かれるという嫌われっぷりを、先にどうにかしたほうが良いのではないか、と強く感じる次第です。
著者プロフィール

ブロガー/個人投資家
やまもといちろう
慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数
公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)
やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研