「喜び組」を暴露され激怒 「身内殺し」に手を染めた北朝鮮の独裁者 (2/2ページ)
また李氏は以前から、北朝鮮からテロ予告を受けていたし、韓国の情報機関も危険情報を入手していた。状況証拠は、北朝鮮工作員による犯行を強く示唆していたが、犯人を特定するには至らなかった。
しかし8か月後、事態が動く。
1997年10月、韓国に夫婦として潜入していた2人の工作員――チェ・ジョンナム(当時35歳・男性)とカン・ヨンジョン(同28歳・女性)が摘発された。いわゆる「夫婦スパイ団事件」である。
2人は韓国当局による取り調べに対し、「李氏殺害は金正日総書記の命により、北の社会文化部所属のテロ要員、チェ・スンホと氏名不詳の20代の男の2人で構成された特殊工作チームが実行した」と供述。殺害実行の1カ月余り前に韓国に潜入していた彼らは、事件後には北に戻って英雄称号を授与され、新たな任務のために整形手術を受けたとも説明したという。
1997年2月は、正日氏の父である故金日成主席の元側近、黄長ヨプ(ファン・ジャンヨプ)元朝鮮労働党書記が中国の韓国大使館に駆け込み、北朝鮮の工作員が周囲を取り巻く中、韓国入りの機会をうかがっていた時期だ。
黄氏は李氏殺害を知り、「亡命直前の私に対する警告だ」ととらえたという。実際、2010年4月20日には、黄氏の暗殺を企てた北朝鮮の工作員2人が韓国当局により検挙されている。
そして今、韓国には最近脱北した北朝鮮エリートたちが様々な情報をもたらし、金正恩党委員長の私生活がまるごと暴かれそうな勢いである。
この状況下、正恩氏は強力なけん制手段を必要としているはずだ。彼が父親と同じ「選択」をしないとは限らないのである。