本好きリビドー(144) (2/2ページ)
ドキュメントである。タイトルは『覗くモーテル観察日誌』(文藝春秋/1770円+税)という。
モーテル経営者は膨大なのぞきの記録を残していた。レズビアンの女教師、複数セックスの愛好家集団、夫婦交換や不倫の現場。ベトナム帰還兵とその妻の性行為というアメリカならではのネタがある一方、「セックスの時に明かりを消すか否か」という、万国共通の話題まである。
さらに、経営者の生い立ちから、なぜのぞきという性的趣味を持つに至ったかも、詳細に明かされる。
ジャーナリストは、取材と男の記録をノンフィクションとしてまとめ、一部を雑誌に掲載した。なんと映画化も進んでいたという。ところが、ワシントンポスト紙から「事実に間違いがある」と指摘され、映画化はあえなく頓挫。そうした一連の騒動が、マスコミを大いに賑わせたらしい。
さて、果たして実話か、創作か? 判断は読む方々に委ねるが、この本に書かれていることは、いわばアメリカの“性史”。抜群にオモシロイことは請け合いである。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)