北朝鮮権力に「虐殺者の3代目」vs「罪なき4代目」の新たな構図 (2/2ページ)

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ただし、20年前の話だが、金正日総書記は喜び組スキャンダルなどを暴露した金正男氏の母方のいとこにあたる李韓永(イ・ハニョン)氏を暗殺したという過去をもつだけに「限りなく黒に近いグレー」と見られるのは避けられない。

そして、金氏一族の正統なる4代目であるハンソル氏の存在が、3代目の正恩氏にとって極めて厄介なものとして浮上したことは間違いない。しかも、側近を無残に処刑するなど国内での人権侵害の責任を問われ、「人道に対する罪」さえ問われようとしている金正恩氏と異なり、若年でこれまでの人生のほとんどを海外で過ごし、権力からも遠ざけられてきたハンソル氏は、これといった「罪」を背負っていないように見える。

彼は既にフィンランドでのインタビューを通じて、正恩氏を独裁者と表現した。そして、今回は父である金正男氏の死亡に関して北朝鮮当局の主張を全否定した。

こうした態度を取ったからには、ハンソル氏が北朝鮮本国へ帰国することは難しい。現時点で彼がどこにいるのかは不明だが、滞在先で亡命となる可能性が高い。

ハンソル氏の今回の動きに対して、「亡命政権樹立が早まる」などという見方も見受けられる。しかし、若干21歳の彼がそこまで見据えているのかについて筆者は懐疑的だ。動画を投稿した動機は、実の父親が殺害されたにもかかわらず、その存在も殺害された事実も隠蔽しようとする祖国、すなわち北朝鮮に対する抗議の意志が大きいように思える。それでも、その勇気には最大限の敬意を表したい。

今後、ハンソル氏が国際社会から金正恩氏の対抗勢力のような存在として見られるのは避けられないだろう。本人の意思はどうであれ、ハンソル氏は金正男氏同様、金正恩氏を脅かしかねない存在に浮上したのだ。

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