国鉄民営化から30年 JRがいまだ抱える難題と大甘体質 (2/2ページ)
しかし、バブル崩壊、人口減少と、計画当初とは想定された社会環境がまったく変わってしまったのです」(鉄道ジャーナリスト)
整備新幹線の問題は、その建設費自体が巨額であること、加えて建設コストに見合った収益が上げられるのかということだ。例えば、北海道新幹線は開業からこの1年、平均乗車率はたったの32%。鉄道開業はバラ色の未来を描きがちだが、そんな時代はとうの昔に去ってしまったのだ。
「それにもかかわらず、整備新幹線の需要予測はいつも大甘。中でも、最も早く開業した長野新幹線(高崎-長野)の場合、2000年度(開業次年度)の需要予測が2万3000人/日なのに対して、実績輸送密度は1万7600人/日となり、予測の77%に留まっているのです」(同)
また、新幹線は所要時間が4時間を超えると飛行機に対抗できないといわれており、競争して有利なのは3時間以内というのが定説。例えば、北海道新幹線は札幌まで延伸されても、東京から最短で4時間45分かかるため、東京からのビジネス客は飛行機を利用するだろう。
一方で、整備新幹線が開業すると、並行在来線はJRの経営から分離され、地元自治体が出資する第三セクターが受け皿となる。しなの鉄道(長野県)、青い森鉄道(青森県)、肥薩おれんじ鉄道(熊本県・鹿児島県)など、すべてそうだ。北陸新幹線開業時には、えちごトキめき鉄道(新潟県)ほか2社の運行が始まった。
「しかし、少子高齢化で利用者が減り続ける中、メーンは通勤・通学の利用者となり、運賃収入で売り上げを伸ばすのは至難の業です。多くの電鉄は観光列車を走らせたり、沿線で観光施設を整備するなどしていますが、経営を安定させる解決策となった例はありません」(前出・業界関係者)
民間企業のJRからすれば、整備新幹線を引き受ける代わりに、お荷物路線を切り離して欲しいというのは当然だろう。
「'90年には『建設着工する区間の並行在来線は、開業時にJRの経営から分離することを認可前に確認すること』が、政府・与党の申し合わせで合意されている。よって、並行在来線は万年赤字が宿命づけられている。その赤字はといえば、地元自治体の負担、すなわち税金で補填されることになるのです」(同)
中田氏は「その財政負担に耐え切れなくなった各地方自治体はやがて国に補助金等の陳情に走る」と語っている。新幹線の開通によって恩恵を受けるのは誰なのか、根本的なことを考え直さなければならない。