【プロ野球】明けましておめでとう? 関東に暮らす広島ファンの聖地・神宮球場での「開幕戦」をレポート (2/2ページ)
■辛い敗戦にも余裕のスマイル
高ぶる気持ちと裏腹に、結果は1対3で敗戦。ルーキーの加藤拓也が6回3失点と粘りの投球を見せるも、広島の強力打線はヤクルトの先発・石川雅規の前に沈黙。得点は鈴木誠也の1発のみに終わり、今季初の3連敗を喫してしまった。
7安打を放つも、チャンスらしいチャンスもなく、盛り上がりに欠ける内容だった。
しかし、広島ファンの多くが敗戦の悔しさを強く滲ませていなかったのが印象的だった。フラストレーションのたまる展開に加え、3連敗。例年ならばら怒号を浴びせる者や、悔しさのあまり泥酔する者を見受けられるところだが、見渡す限りは皆無に等しかった。
「ルーキー・加藤対エース・石川」という構図から見て、戦前から分の悪さを感じていたのか? それとも、10連勝で得た大きな貯金があったからか? はたまた、暗黒時代さながらの負けっぷりを見て、懐古趣味的な感傷に浸ってしまったのか?
いずれにせよ、気持ちに余裕があったのだろう。言えるのは、敗戦の悔しさを、神宮球場での野球が「開幕」したことへの素直な喜びが凌駕していたということ。筆者はそう考える。実際に自分もそんな気持ちだった。
神宮球場は1986年のリーグ優勝を始め、広島の様々な名場面が生まれた球場だ。昨シーズンも、この地で新井貴浩が2000本安打を達成した。
今年はどんなエキサイティングなシーンが見られるのだろうか? 関東の広島ファンの多くが望むのは聖地での連覇達成だ!
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)