一級建築士になるには? 資格・免許や大学での専攻はどうする?

学生のみなさんのなかにも、一級建築士に目指している方もいると思います。以前、大学院の建築学科で学ぶ学生さんを取材した際に、その研究が実に楽しそうでうらやましかったことがありました。建築士はクリエイティブで魅力ある職業ですが、建築物を設計する、監理するという仕事をするには建築士にならなければいけません。今回は建築士の中でも「一級建築士」になるにはどうすればいいか、資格や勉強などについてご紹介します。
■そもそも建築士という資格とは?
まず「建築士」という資格について解説します。建築士は、建築物の設計、工事監理について行うことができる資格です。
建築家の先生に聞いてみましたら、これはやはり日本の環境からくるもの、ということです。日本は地震の多い国で、建築物についてはやはり最大限の配慮をする必要があります。倒壊しにくいもの、また倒壊したとしても人をできるだけ傷つけず、撤去しやすいことなど、建築物を建てるときには専門家の意見を反映したものでなければなりません。そのためにも日本では、たとえそれが小さな建物であっても、建築士という公的に認められた専門家による監理を求めているわけです。
建築士には、
●一級建築士●二級建築士
●木造建築士
の三種類があります。今回ご紹介する「一級建築士」は、国土交通大臣が認可する資格で、「二級建築士」「木造建築士」は都道府県知事が認可する資格となっています。資格を取得すると「免許証」が発行されます。
ちなみにこの免許証には賞状型とカード型があります。カード型の方は、写真入りで普通自動車免許のような感じになっています。もし、知り合いに建築士の人がいらっしゃったら見せてもらうといいでしょう。
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■「一級建築士」は扱える建築物が違う!
扱える建築物の種別・大きさによって資格が3つに分かれています。
●木造建築士
・1階建て、または2階建ての木造建築物
(のべ床面積が100平方メートル超-300平方メートル以下)
の設計・工事監理を行う。
●二級建築士
・高さ13メートル以下軒高9メートル以下の木造建築物
(のべ床面積が300平方メートル-500平方メートル以下)
・高さ13メートル以下軒高9メートル以下で、学校、病院、劇場、映画館、観覧場、公会堂、集会場(オーティトリアムを有しないものを除く)、百貨店以外の用途の、のべ床面積が500平方メートル超-1,000平方メートル以下の木造建築物
・のべ床面積1,000平方メートル超の平屋建て一般木造建築物
・木造建築物以外:高さ13メートル以下軒高9メートル以下
(のべ床面積:30平方メートル超-300平方メートル以下)
の設計・工事監理を行う。
●一級建築士
木造建築士・二級建築士の管掌する全ての建築物を含む、あらゆる建築物の設計・工事監理を行う。
というわけで、一級建築士になると「何でも来い!」になるのですが、その前段階として「二級建築士」「木造建築士」にできること範囲を定めているというイメージでしょうか。
一級建築士になると設計、工事監理できる世界がぱっと開けます。建築士法にも、
第三条 左の各号に掲げる建築物(建築基準法第八十五条第一項又は第二項に規定する応急仮設建築物を除く。以下この章中同様とする。)を新築する場合においては、一級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。
一 学校、病院、劇場、映画館、観覧場、公会堂、集会場(オーデイトリアムを有しないものを除く。)又は百貨店の用途に供する建築物で、延べ面積が五百平方メートルをこえるもの
二 木造の建築物又は建築物の部分で、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの
三 鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロツク造若しくは無筋コンクリート造の建築物又は建築物の部分で、延べ面積が三百平方メートル、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルをこえるもの
四 延べ面積が千平方メートルをこえ、且つ、階数が二以上の建築物
とあるように、「一級建築士でないと扱えない建築物」が多数あることがわかります。
⇒データ引用元:『建築士法』
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO202.html
■一級建築士に加わった「構造設計」と「設備設計」
「何でも来い!」な一級建築士ですが、時代の要請で2つの資格が追加されています。これは2006年(平成18年)に行われた『建築士法』の改正によって行われました※。
※第十条の二の二「構造設計一級建築士証及び設備設計一級建築士証の交付等」
●構造設計一級建築士
●設備設計一級建築士
です。この資格は一級建築士の資格を持つ人が、条件を満たすことで交付を申請することができます。
まず「構造設計一級建築士」。これは、一定規模以上の建物を建てる場合には、
・構造設計一級建築士自らが設計を行う
・構造関係の規定に適合しているか、の確認を構造設計一級建築士が行う
のどちらかを実施しなければならないという法改正によってできました。この場合の一定規模の建物とは以下のようなものです。
●一定規模以上の建物br
・木造で高さ13メートル超又は軒高9メ-トル超
・鉄骨造で階数4以上
・RC造又はSRC造で高さ20メートル超
・その他政令で定める建築物
次に「設備設計一級建築士」です。一定規模以上の建物の設備を設計する場合には、
・設備設計一級建築士が自ら設計を行う
・設備関係規定に適合しているか、の確認を設備設計一級建築士が行う
のどちらかを実施しなければならないという法改正によってできました。この場合の一定規模の建物とは「階数3以上で、かつのべ床面積が5,000平方メートル超の建築物」です。
いずれも、一定規模以上の建物では、構造・設備の面でよりしっかりとしてもらいたいという国の指導ですね。未来の地震被害をできるだけ小規模にとどめたいという意図からくるものではないでしょうか。
■一級建築士になるには「一級建築士試験」に合格する!
資格として強力な「一級建築士」ですが、取得するのはなかなか難しいのも確かです。国土交通大臣が認可する資格ですので、「一級建築士試験」に合格して「一級建築士名簿」に登録され、「一級建築士免許証」を取得しなければなりません。
試験は年に1回で、
・学科の試験
・設計製図の試験
が行われます。ただし、学科の試験に合格しないと設計製図の試験を受けることはできません。前年、また前々年に学科の試験に合格していたら、その年の学科試験は免除されます。
かかるお金は、
受験手数料:1万9,700円
登録手数料:1万9,200円
(合格した場合の免許の登録料です)
となっています。ただし、大きなハードルは受験資格なのです。
■一級建築士になるためのフロー一級建築士試験を受けるためには、二級建築士の免許を取得した後に、4年以上の実務経験を積んでいることが求められます。
ちなみに二級建築士の受験資格は下のようになっています。
●大学(短期大学を含む)又は高等専門学校において、指定科目を修めて卒業した者
⇒この場合は実務経験0年でも受験できる
●高等学校又は中等教育学校において、指定科目を修めて卒業した者
⇒この場合は卒業後3年以上の実務経験が必要
●その他都道府県知事が特に認める者
(「知事が定める建築士法第15条第三号に該当する者の基準」に適合する者)
⇒この場合は所定の年数以上の実務経験が必要/建築設備士の場合は0年でも受験できる
●建築に関する学歴がない
⇒この場合、7年以上の実務経験が必要
ですので、一級建築士になることを目標にしているのであれば
<一級建築士になるためのフロー>
まず大学の建築科など、各地方自治体の知事の認める教育機関で、指定科目を修了して卒業
↓
二級建築士試験を受験・合格
↓
建築の設計・工事監理などを行う企業で働き、実務経験を積む(4年以上)
↓
一級建築士試験を受験・合格
というフローになります。一級建築士になるには、長い時間と経験が必要なのです。しかも一級建築士の試験は非常な難関です。平成28年の結果は、
学科の試験の合格率:16.1%
製図の試験の合格率:42.4%
となっています。一級建築士を目指すのであれば、相当な覚悟が必要と言えるでしょう。
一級建築士になるにはどうすればいいかを解説しました。一級建築士になるのはなかなか難しいですが、その分責任も大きくやりがいのある仕事です。将来、一級建築士を目指す方はぜひ参考にしてください。
(高橋モータース@dcp)