アトピーといえば、子どもに多いイメージがありますが、大人も発症することがあるようです。しかも大人のアトピーは、ストレスが原因という噂を耳にすることも……。その噂は本当なのでしょうか？　そこで今回は、大人のアトピーとストレスの関係について、皮膚科医の宇井千穂先生に教えていただきました。

■「大人アトピー」とは？

まずは「大人アトピー」について、宇井先生に聞いてみました。

◇大人もアトピーを発症することがあるの？

ひと昔前までは、アトピーは子どもの疾病と認識されていましたが、最近は大人の患者もぐっと増えました。「大人アトピー」の代表的な要因としてまず挙げられるのが、大気汚染の影響。汚染された空気にさらされることで、体内で発生する多くの活性酸素によりアトピーが発生してしまうとも考えられています。アトピーが発生するかどうかは、その人の皮膚の強さによって変わってきます。今はアトピーの症状が出ていない人でも、今後発症する可能性もあるのです。

◇大人のアトピーと子どものアトピーのちがいとは？

今では、大人のアトピーも子どものアトピーも、肌に出現する症状はあまり変わりなくなってきています。 また、子どものアトピーは体質や食事アレルギーの場合がほとんどですが、大人のアトピーの要因はさまざま。外的刺激が原因の場合も、精神的なことが原因の場合もあります。

■アトピーとストレスの関係とは

大人のアトピーは、精神的な原因で発生する場合もあるとのこと。やはりストレスとの関係性は深いのでしょうか？　宇井先生に聞いてみました。

◇アトピーはストレスで発生するの？

ストレスや環境の変化は、アトピーが発生する原因になり得ます。たとえば、幼少期にアトピーになり、以降は発症していなかった人でも、就職をして環境が変わったとたんに再発してしまったというケースも多く見られます。

昔はアトピーの原因も数えるくらいでしたが、時代が進むにつれ、原因が複雑化してきました。体質やアレルギー、寝不足や食生活など、さまざまな要因が重なり合っているので、一概に原因を特定するのは難しいと言えます。

◇アトピーはストレスで悪化するの？

精神的なストレスは、アトピーを悪化させる大きな原因です。実際に、まわりに気をつかう職に就いた、会社の人間関係がうまくいかないなどのストレスが原因で、アトピーが悪化したということが多々あります。

最近は、アトピーの原因として「食事アレルギー」が大きく注目を浴びていますが、精神的な面はあまり注目されていないのが現状です。ストレス・過労・寝不足は、アトピーを悪化させる大きな原因だということを忘れないでください。これらが原因で免疫力が下がり、肌も弱まるので、さらに症状が進行してしまうのです。

■ストレスを解消しよう！　「大人アトピー」の治し方

それでは、ストレスが原因の「大人アトピー」を治すには、どうすればいいのでしょうか？　宇井先生に解説してもらいましょう。

◇ストレスの解消法

ストレスが原因のアトピーで悩んでいる場合、しっかり睡眠時間をとって、体と心の休息をとることが何よりの解決方法ですが、なかなか難しいのが現実。寝るときにアロマを焚く、友達と話をするなど、自分なりのリフレッシュ方法を見つけて、こまめにストレスを解消していくことをおすすめします。

◇アトピーの治し方って？

そもそもアトピーは、病気ではなく体質です。なので、「風邪を引いちゃった」と同じような感覚で「アトピーになっちゃた」と言うのはまちがっています。もともと自分が持っていた体質に、何かがきっかけで発症してしまうものなので、「病気を治す」という感覚ではなく「アトピーという体質を改善していく」と考えたほうが、精神的ストレスにもならないでしょう。

原因はさまざまでも、アトピーになる方は乾燥肌の場合が多いです。そのため、肌の保湿は丁寧に行いましょう。1日2回、特に1日の中で肌が一番乾燥するお風呂上がりは、必ず保湿を行ってください。患部だけでなく、全身を保湿すれば、予防にもつながりますよ。

病院では、人や症状によって変わりますが、塗り薬や飲み薬を処方することがほとんどです。処方された量・期間をしっかり守って、アトピーをコントロールできるようにしていきましょうね。

■まとめ

今やアトピーの原因は千差万別。食事やハウスダストなど、アレルギーが関係しているイメージがありますが、実はストレスなどの精神面も大きく影響していることがわかりました。アトピーは体質の問題なので、適度なストレス解消＆保湿をしっかりして、アトピーと上手に付き合っていきましょう。

（監修：宇井千穂、文：石部千晶／六識）