大手IT企業が福利厚生の一環として資金援助を行っている「卵子凍結保存」の今
働き盛りの時、「今はそのときじゃないけど将来的に子どもは欲しい」そう願うビジネスウーマンは多い。アメリカのフェイスブックやアップルは、福利厚生の一環としてそういった女性を対象とし、2014年より卵子凍結保存給付金制度(卵子凍結の資金援助)を設けている。
現在では、グーグルやウーバー、ヤフーなど、少なくとも12社以上のIT企業が同様のサービスを提供しているという。
卵子だけではない。ヤフーでは2016年より、卵子だけでなく精子や胚の凍結保存及び解凍にかかる費用も補償しているそうだ。
だが一方で、この制度は「女性は子供をもうける時期を遅らせることでキャリアに集中するべきだ」というメッセージにも受け止められるという批判もある。
・卵子凍結保存とは?
卵子凍結保存は1回最低でも100万円はかかる。卵巣から卵子を外科的に摘出し、冷凍保存して将来的な利用に備えるという手続きだ。
30代後半から40代の女性にとって自然な妊娠は難しい場合があるが、研究ではその方法なら50代でも赤ちゃんを授かることが可能であると示唆されている。
・IT企業が福利厚生として資金援助
卵子凍結保存に対する金銭的な支援制度を設けたのは、ハイテク企業としてはフェイスブックが始めてだ。アップル社もこれに追随し、今ではグーグルからウーバーやヤフー、インテルやeBayまでいくつもの企業がこうした制度を有している。
IT企業は素晴らしい福利厚生を提供することで有名だ。美味しい食事やマッサージ、クリーニングといったサービスは、優秀な社員を引き寄せるためのものだ。
また大抵は男性が多い職場であるために、女性が働きやすい環境作りも急務となっている。卵子凍結保存などを支援する制度は才能ある優秀な女性社員を雇い、働き続けてもらうために必要な手段なのである。

・IT企業から一般企業へ広がる動き
サンフランシスコのダウンタウンのとあるビルの2階に、シリコンバレーで働く人々を顧客に持つIT企業ご用達の診療所スプリング・ファーティリティがある。
白いおしゃれな待合室には、グーグル、フェイスブック、ヤフーといった企業で働く女性が座っており、患者数はますます増えているという。
同診療所のピーター・クラツキー医師によると、ここでは体外受精から卵子凍結保存など、1ヶ月で90パーセントの処置を完了することができるという。患者は多忙であり、そのスケジュールに合わせた処置が必要なのだ。
スプリング・ファーティリティの患者のほとんどはプロジニー社の紹介である。同社はIT企業で働く女性にアドバイスを与えるコンシェルジュのようなサービスを提供しており、企業と診療所の橋渡しをしている。
プロジニー社ヘルスケア部門の責任者カリン・アジュマニ氏は、こうした先進的なプログラムを率先して取り入れたのはIT企業だが、今では他の業界も注目していると説明する。
プロジニー社の社員の半分は最早IT企業を担当していない。まだ卵子凍結保存が実験的な技術とみなされていた2013年以前の状況を考えれば驚くべきことだという。
アメリカでは従業員500名以上の企業の5パーセントが卵子凍結保存に関する制度を備えているそうだ。

・卵子冷凍に関する情報サイトが登場
フェイスブック社とアップル社が卵子凍結保存制度の導入を発表して間もなく、サンフランシスコでは2つのイノベーションが起こった。
卵子冷凍カクテルパーティ「#LetsChill」と「ガールズ・ナイトアウト」だ。どちらも女性に妊娠に関する情報を提供し、卵子凍結保存に対する偏見をなくすことを目的としている。
アップル社やフェイスブック社の取り組みによって、今やこの技術がお茶の間でも話されるようになったのである。
・卵子凍結保存に対する批判も
しかし、こうした動向に懸念を示す人々もいる。「卵子凍結保存は女性に仕事に集中し、子供を作るのは後回しにしろとでも言っているかのようだ」と反対派は主張する。彼らによると、IT企業は良好なワークライフバランスの形成に注力すべきであり、必要なのは妊娠を遅らせることではなく、子育て支援なのだという。
最近、アップル社が新社屋を公開したが、多方面から施設内に託児所がないという指摘がなされた。
女性が卵子凍結保存に踏み切る理由は様々だ。キャリアを優先したい人もいるだろうし、病気を理由とする人もいる。
・卵子凍結保存をする女性の本当の理由:
仕事優先というよりも現状パートナーがいないから
2013年のアメリカ生殖医療協会の報告書によると、卵子凍結保存を行なった女性の80パーセントはパートナーがいないことを理由に挙げている。一方、職場環境の問題を理由にしたのは19パーセントのみである。
via:Egg freezing, so hot right now
子供は欲しい。でもパートナーがいない。ならばまだ元気なうちに卵子を保存したい。そう願う女性もいるだろう。愛すべき人が見つかればその人との子どもをその時に産むことは可能だし、そして今の技術ならばパートナーがいなくても、精子バンクを利用して子供を生み育むことも可能である。
あまり実感していなかったが、21世紀の技術進歩ってすごいところに来ているんだな。
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