侍ジャパン 松井秀喜監督、清宮幸太郎代表入りビッグ構想

週刊実話

 清宮幸太郎(早稲田実業3年)が6月4日、愛知県で行われた招待試合で高校通算100号アーチを放った。早稲田大学への内部進学という進路予想も強まりつつあるが、プロのスカウトによる評価はさらに高まった。
 「100本打ったからではありません。打撃が進化しました。少し前なら、得意の低めを意識するあまり、内角高めのストレートに振り遅れるか、外に逃げていくスライダーに対応できませんでした。でも、トップに構えてからのスイング軌道が少し変わった。高めに意識を置いても、低めの甘いボールを見落とすことがなくなりました。独学でここまで修正できるのだから、大学、社会人を含め、ドラフト候補の野手ではナンバー1でしょう」(在京スカウト)
 昨秋の東京都大会で左投手のスライダーに5打席連続5三振を喫した“悪夢”は、完全に払拭したというわけだ。そんな清宮を追うネット裏のスカウト陣にも変化が見られた。

 昨年度、早実の学生387人中377人が早大に進学している。この流れに逆らえないとする進学説に何かしらの裏付けを得たのだろう。視察からフェードアウトした球団も出ており、「まだ、決めつけるのは早い」と、プロ入りへの希望的観測で見守り続ける球団もないわけではない。
 「RKK招待試合(5月14日)で、前打者が敬遠される屈辱に見舞われました。清宮を見たいとするファンを意識したプレーが学生野球に相応しいか否かは別として、これまで清宮は、まともにストライクを投げてもらえなかった。かつて、松井秀喜氏が敬遠事件を機にプロ入りを決心したように、清宮の心境にも変化があったようです」(前出・在京スカウト)

 いずれにせよ、清宮が進路を明確にするときは近い。その時期についても状況が変わってきた。「日本一を意識しているので、今夏の甲子園後」と見られていたが、最終ステージは「カナダ」になったという。
 世界野球ソフトボール連盟主催『U-18ワールドカップ』が、9月1日からカナダ・サンダーベイで開催される。夏の甲子園の出場如何に関わらず、清宮が日本代表入りするのは間違いない。
 「カナダで彼の本心を聞くつもりです。'06年、夏の甲子園大会後、12球団スカウトは国際大会に招集された斎藤佑樹の説得には失敗しましたがね」(球界関係者)

 清宮が将来についてハッキリと明言したのは1回だけ。「東京五輪に出たい」との夢だ。野球・ソフトボールは、プロ、アマチュアの協力体制によって、東京五輪での追加競技の当確を勝ち取った。次の侍ジャパン監督は、「東京五輪の指揮官」とも位置づけられているが、7日に開かれた強化委員会では、候補者を絞り込むことはできなかった。
 「決まらなかった理由? この委員会がプロ・アマ合同で組織されていますからね。アマチュア側の意見も聞き入れなければなりませんし、プロ側の意向だけを通すわけにもいきません。一応、強化本部長を置くことは決定しました」(同)

 同委員会は、事実上のゼネラルマネージャーとなる強化本部長を「代表監督よりも先に決めること」を確認した。今後、代表選手の選考は監督ではなく、強化本部長がイニシアチブを握っていく体制となる。
 「この新体制が候補者の原辰徳氏に二の足を踏ませたようです。原氏は巨人監督時代、GMと衝突していましたので」(ベテラン記者)

 他にも候補者の名前は出ているが、決定打がない。中畑清氏はアテネ五輪でミソを付けている。栗山英樹氏は日ハム指揮官としての“今後”が不透明で、「兼任の可能性」が懸念されたという。落合博満氏もいるが、先の委員会でプロ側出席者だった井原敦氏(NPB事務局長)は会合後、「経験と世代交代の両論があった」と、打ち明けた。
 委員会の出席者が内情を明かす。
 「もう、井原さんと全日本野球協会理事・山中正竹氏の2人に決めてもらうしかない。出席者が10人いれば、最低でも3人の候補者が出て、意見がまとまらない」

 アマ側は東京五輪の代表チームに「アマチュア選抜枠を確保してくれ」と要望している。ともにロビー活動を行ったプロ側も「今後も友好関係を」と考えており、この要望を受け入れるつもりだ。
 「松井秀喜氏なら、アマ側も納得するはず。最低でも打撃コーチで入閣させたい。五輪を戦うのはメジャー中継を見て育った世代ですからね」(前出・球界関係者)

 井原局長は「7月末まで」と監督選出の目処を語っている。松井氏は自身が代表を務める組織のイベントに出席するため、6月下旬に帰国する。日程的に、「松井氏に交渉して最終判断」というのは可能だ。
 「清宮がアマ枠で五輪チーム入りすれば、“新旧怪物”のツーショットが実現します。プロ・アマ友好の象徴ともなるはず」(同)

 現場スカウトたちは、新代表監督の意向を聞き、カナダで清宮の『進路』を確かめるつもりだ。
 とにかく、プロ・アマ友好もけっこうだが、大事な“怪物”の将来を政治的な厄介事に巻き込んではならない。

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