本好きリビドー(161) (2/2ページ)
例えば、現代の不倫関連書が、どちらかというと「なぜ不倫するに至ったか」という内面を中心に描かれるのに対し、江戸時代は性行為(セックス)そのものを単刀直入かつ執拗に描いていることを明かしている。つまり、エロ本や官能小説に近い内容だったということだ。
春画はその代表例だ。常軌を逸した巨大な男根と女性器が結合した部分をあからさまに描いた絵は、当時の人々にとってこの上なく扇情的だったはずだ。
また江戸初期には「男色」がもてはやされ、武士と歌舞伎役者の若衆との赤裸々な性描写が流行る。ところが後期に入ると、『南総里見八犬伝』の著者として知られる滝沢馬琴が登場し、女性をセックスの担い手とした破天荒な作品を書き始める。
すると、次第にメイン読者が若い女性へ移っていくという、知られざるエロ史も解説される。こうしたエロに興味を持つ♀たちの出現が、現代女性のセックス観へとつながっていったのだろう。
現代の“萌え系”といわれる漫画やアニメの源流は江戸時代にすでにあったわけで、日本人はつくづく好色で下ネタ好きだな、と思わずにいられない。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)