医療事務とは? なるにはどうすればいい? 仕事内容を知ろう

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求人サイトには「医療事務」についての募集が多いですよね。医療事務は、医療行為に携わることはありませんが、病院など医療機関の事務業務を支える大事な仕事です。今回は「医療事務」になるにはどうすればいいかを解説します。

■医療事務の仕事とは?

医療事務の仕事で行うのは主に次の3つです。

●医療事務の主な仕事

1.受付業務
診察券を受け取り患者の受付を行います。カルテを用意し、患者が受診する科へカルテを送ります。

2.会計業務
患者の受けた医療行為の内容を点数表に従って計算(後述)し、個人負担分の請求書(兼領収書のことがほとんど)を作成。会計を行います。

3.レセプト業務
レセプトとは「被保険者に対して請求する明細書」のことです。医科・歯科では「診療報酬明細書」、調剤薬局では「調剤報酬明細書」、訪問看護では「訪問看護療養費明細書」と呼ばれます。レセプトを作成し、保険者(市町村や健康保険組合など)に請求します。

会計業務では、点数計算を行わなければなりません。日本では診療報酬は点数制になっています。「1点 = 10円」で計算し、医療の内容が複数あればそれを加算して合計点を出し、医療費を算出します。

先日、筆者が病院に行ったときの「診察費請求書兼領収書」がありますので、そこから計算してみましょう。

●診療報酬の点数の例(3割負担の場合)

初・再診料:73点
投薬:133点
検査:210点
精神科専門療法:400点
合計点数:816点
保険分負担金額:2,450円

合計点数は816点ですので、「1点 = 10円」ですから本来「8,160円」です。しかし、(筆者の場合)健康保険で3割負担となりますので、「8,160円 × 30% = 2,448円」。10円未満は四捨五入するので「2,450円」というわけです。

会計の際にはこのような点数計算を基に患者に請求書を発行し、お金を支払ってもらいます。この計算に密接に関わっているのが「レセプト業務」です。上記の場合、患者は3割負担ですが、残りの7割は保険者(市町村や健康保険組合など)に支払ってもらわなければなりません。

そのためには、どの患者にどんな医療行為を行ったのか、その明細が必要になります。ですので、医科・歯科なら「診療報酬明細書」、調剤薬局なら「調剤報酬明細書」、訪問看護なら「訪問看護療養費明細書」という「レセプト」を作成、審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金/国民健康保険団体連合会)に提出するわけです。

審査支払機関はそのレセプトに誤りがないかを審査し、OKであれば保険者に請求を行います。この請求によって初めて保険者から医療機関に支払いが行われます。ですので、レセプト業務は特に重要な仕事といえるでしょう。

ちなみに、前月分のレセプト提出の締め切りは翌月の5日(社会保険診療報酬支払基金)、10日(国民健康保険団体連合会)です。医療事務が月末・月初に非常に忙しくなるのは、このレセプト業務のためです。

■医療事務になるには?

医療事務になるには、求人を行ってる医療機関に応募し、雇用してもらうのが最も一般的な方法です。医療事務を行うのに、特に資格は必要ありません。上記のような点数計算なども慣れれば誰にでもできることですが、診療報酬の計算について専門知識を持っていることを証明してくれる資格もあります。

●診療報酬請求事務能力認定試験

『公益財団法人 日本医療保険事務協会』が認定している資格で、レセプト業務についての知識、能力を検定します。1994年に始まり、年2回(7月、12月)の試験が行われています。直近の2016年12月に行われた第45回の試験では、医科で合格率39.3%、歯科で合格率34.1%となっています。この結果からもわかるとおり合格するのが難しい試験です。

⇒データ出典:『公益財団法人 日本医療保険事務協会』「試験概要」
http://www.shaho.co.jp/iryojimu/exam/

●医療事務管理士(R)技能認定試験

『技能認定振興協会』が実施している試験で、上記の医療事務に含まれる仕事についての知識を検定します。1969年に始まり、年6回(1月、3月、5月、7月、9月、11月)試験が行われています。直近の2017年3月に行われた試験では、医科で合格率47.5%、歯科では合格率57.4%となっています。やや難しいという感じの試験でしょうか。

⇒データ出典:『技能認定振興協会』「医療事務管理士(R)技能認定試験とは」
http://www.ginou.co.jp/iryoujimu/tabid/157/Default.aspx#area03

他にも、医療事務に関する資格としては「医療事務技能審査試験」「調剤報酬請求事務専門士検定試験」「調剤事務管理士技能認定試験」といったものがあります。

上記のとおり医療事務の仕事に就くために特に資格は必要ありません。ただ、多くの医療機関ではこのような診療報酬の計算にはコンピューターを使っています。ですからコンピューター操作の基礎知識はあった方がいいでしょう。

医療事務とはどういった仕事か、またなるにはどうすればいいのかについてご紹介しました。よほどのことがない限り病院は倒産したりしませんので、医療事務は安定して働ける職種といえるかもしれません。また、患者が初めて接するのは受付業務の担当者です。そのため、医業事務に携わる人は、その医療機関の第一印象を決めているとも言えるのです。ですから、これから医療事務職を目指す人は、コミュニケーションスキルも意識して磨くといいかもしれません。

(高橋モータース@dcp)

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