サイバー犯罪の温床に? あまりにも甘い日本人のセキュリティ意識 (2/3ページ)
足立:内部告発などの形や、政治的な意図での理由で外部に公表されたりした場合を除いて、国家が「ハッキングを行なっています」と大体的に公表している国は今のところはありませんので、実態を把握することは難しいでしょう。
しかし、諜報活動に携わるものの身体的なリスクを軽減し、効率的な諜報活動を行う上で、ハッキングは有効な手段の一つであるということは断言できます。実際、産業領域においても製造業などでは産業スパイを従業員の中に紛れ込ませる手口ではなく、ハッキングを用いて行うことが増えています。
そのため、ハッキングを諜報活動において用いない理由を考えるほうが、難しいことでしょう。
――現在各国で進められているという、「サイバー空間への地政学的アプローチの研究」とは、具体的にどういったものなのでしょうか。足立:本来、「地政学」とは地理学が培ってきた環境論の1つで、「環境決定論」という見方と政治学が結びついたものです。そして、現代社会において環境の一つとしてサイバー空間における戦いも考慮しなくては、説明のつかない状況が生まれています。
例えば、ある国が大陸間弾道ミサイルの開発を行っているとしましょう。それそのものは脅威ですが、自国が射程圏内に入らなければ、その脅威は極めて小さいものであると捉えることができます。
しかし、サイバー空間における戦いでは異なってきます。
目と鼻の先の誰かを攻撃することも、地球の裏側の誰かを攻撃することも、手間もコストもリスクも大きくは違わないからです。つまり、これまで大きな脅威としてみなしていなかった存在さえも、大きな脅威となり得るということで、地政学上の関係性も大きく変わってきます。
この件について地理学の研究者に尋ねてみたところ、イスラエル、ロシア、中国、アメリカ合衆国等がこの領域での研究において先行しているとのことでした。
――本書に書かれているように、PCや端末の遠隔操作が可能となると、それを利用した犯罪の取り締まりは非常に困難になるように思います。サイバー犯罪への警察の捜査能力というのは現状どの程度のものなのでしょうか。足立:以前と比べて優秀な方が多く集まられていると思います。