本好きリビドー(167) (2/2ページ)
物語は、主人公が17歳の時に起こした事件を回顧するというもの。主人公の父母は、ある資産家が所有していた別荘の番人をしていた。そして、別荘の地下室では、資産家の主人と父母との間に交わされた密約が行われており、主人公の美しく狡猾な姉も加担していた。その事実を知った主人公は、ある行動に出る――。
カネ持ちで鼻もちならない資産家と、彼ら一族に従属して暮らすことを余儀なくされている貧しい別荘の番人一家という、いかにもドロドロとした人間関係が、否が応にも昭和の避暑地を思い起こさせ、ドキドキ感が止まらない。
さらに高級な別荘の怪しげな地下室で男を虜にしていく女たち。
軽井沢に立ち込める霧を嫌い、自分を取り巻くすべてをブチ壊してやりたいという衝動を抑えられない、若き主人公。
'07年に講談社(530円+税)より発売されており、現在でもAmazon等で購入できる。
人間の暗部を抱えた者たちが入り乱れる濃厚な愛憎劇を、ぜひこの夏、読んでほしい。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)