【「本が好き!」レビュー】『老いの荷風』川本 三郎著 (2/2ページ)
彼女が荷風の死を発見したのですが、彼女もまた荷風と同じ年のうちに亡くなっているというのは不思議な縁です。
戦後、荷風は業界人から離れた生活を送っていても庶民の中でしっかり関係を築いて「老い」を生き抜いて、「老い」だ何だと(今なら「老害」とか「劣化」といわれるのでしょうか)批判を受けつつも文章を書き続けています。
文章中で紹介されているのは、『羊羹』『或夜』『にぎり飯』『心づくし』『買出し』『老人』『吾妻橋』『葛飾土産』『捨て児』『草紅葉』『噂ばなし』『心がわり』『夏の夜』『東雲』。青空文庫に入っているのは半分程度(残りの多くは作業中)。
『濹東綺譚』以降、特に戦後期、事実上、日本最初の「老人作家」となった荷風の生きざまを感じるとともに、私もこれからまだ経験したこともない老いを迎えるにあたって、作品を読みたくなる1冊です。
(レビュー:祐太郎)
・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」