傑作ドラマ「壮絶死の名場面」真相(3)清水章吾が語る「白い巨塔」田宮二郎の演技と最期 (2/2ページ)

アサ芸プラス

──それは財前五郎が「憑依」していたと?

清水 そういうことだね。ただ、後半はうつ病のほうが深刻になってきて、セリフが頭に入らない。僕に対して「金井君、一杯やろうか」と言う場面で「‥‥誰だっけ?」「金井です」というようなことが何度もあった。奥さん役の生田悦子ちゃんは、田宮さんに「あなた、死ぬんじゃないの?」と口にしたくらいだから。

──そして劇中の財前は、ガンの権威でありながら、みずからが手術不能のガンにより死亡。布をかぶせてストレッチャーに乗せられていく場面はエキストラでいいはずなのに、自身が演じたと記録されています。

清水 田宮さんは顔を覆っていた布を取って周りを見渡し、大物俳優からチョイ役の人まで、みんなが自分に涙してくれているのを見て「役者冥利に尽きる」と言ったんだ。逆算したら、田宮さんは、あれで自身の最期を見届けたんだよ。

──そして全てを撮り終えた直後の78年12月28日、猟銃自殺という形で、放映を2話残しながら生涯を終えました。

清水 すぐに特番が組まれ、僕や生田悦子、島田陽子や高橋長英がスタジオに呼ばれたけど、誰も「まさか」とは思わなかった。むしろ「やると思いました」という感じだったな。

──ある意味、そのことでドラマが不朽の名作に昇華したとも言えます。

清水 そう、実際に「白い巨塔」を観て医師になった人は多かったから。

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