普通の人間関係が築けぬ男女の彷徨を描く映画「月と雷」 (2/2ページ)
一方、母役の草刈も、『Shall we ダンス?』(1996年)の“憧れの女性”のイメージを覆し、本来のナチュラルな髪の毛をわざわざブリーチしてパサパサにして、フーテン女になりきっている。無防備であからさまだけど、オンナの諦観を抱えて生きている。まさに“ザ・助演女優賞”の熱演といえよう。そういえば、若いころ出入りしていたスナックに、似たような女性がいたなあ…。この最強(?)の“デラシネ母&息子”に対抗する泰子役の初音映莉子は全裸も辞さず、自ら積極的に高良との“からみ”にも挑んだ。彼女もまた強烈な印象を残す。
そんな役者たちの新境地と化学反応を生んだ『海を感じる時』(2014年)の安藤尋監督の殊勲ではないか。ボクはこの映画が抱きしめたくなるほど、好きだ。