ビートたけしの名言集「殿から初めて『食事のお誘い』を受けた日」

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ビートたけしの名言集「殿から初めて『食事のお誘い』を受けた日」

「お前、火曜空いてる?」

 先日、殿からうれしいお誘いを受け、約3カ月ぶりに、師匠との楽しいお食事会を堪能して参りました。盛りつけも味付けも初体験な、創作和食を頂きながら美酒に酔い、いい調子になったわたくしは、“そういえば殿に初めて食事に連れていってもらったのって、もう19年も前だっけ”と、殿との初夜(お食事ね)を思い出していました。

 20年ほど前、殿に弟子入りを直訴したわたくしは、「とりあえず、ダンカンのとこに行け」といった殿からの指示のもと、ただちにダンカンさんの付き人になりました。それから1年、ミスを連発しながらも、なんとか辞めずに付き人を務めていると“そろそろ1年だし、ダンカンのところをあがって、殿の付き人に昇格させるか?”といった空気が漂いだしたのです。

 当時、たけし軍団は、弟子入りした若者は全て、奇人・ダンカンさんの付き人になり、そこをクリアした者だけが殿の付き人になるという、ハードな修業ロードが義務付けられていたのです。今思い返しても、大変きつい日々でしたが、また20年前に戻り、ダンカンさんの付き人を経て、殿の付き人になるか? そう聞かれれば、即答で「やる」と答えます。それほど実り多くかけがえのない、絶対に必要な通過儀礼でした。

 で、わたくしがダンカンさんの付き人をあがりかけた頃、殿が久しくやっていなかったゴルフを再開され、それに伴い、仕事終わりに毎日行く、ゴルフ練習場での場所取り人員が必要となったのです。その“たけし付ゴルフ当番”を“まずは殿の付き人お試し期間”といった感じで、わたくしが務めることになりました。

 ゴルフ当番の仕事とは? 説明します。夕方に仕事を終え練習場へやってくる殿のため、2時間ほど早く練習場へ赴き、打ちっぱなしの打席を確保して、殿の到着を待つ。当時、殿が通っていた大型練習場は常に恐ろしく込んでいて、2時間前に行って予約を済ませないと、“真ん中あたりのいい打席”が取れなかったのです。殿が到着すると後部座席のドアを開け、「おはようございます」とごあいさつ。返す刀で車のトランクへ回り込み、ゴルフバッグをピックアップ。先に歩きだした殿を後ろから追い抜く形でバッグを抱え、練習打席へ急ぐ。クラブとシューズを出すと、やや遅れて到着された殿から必ず、

「あんちゃん、待ってる間、飯食っちゃえな」

 と指示があり、殿が練習をしている間、運転手と二人、何を食っても町の食堂の1.7倍はする練習場内のレストランで食事をとる。待つこと約1時間半、練習を終えた殿を見送って終了。

 そんな、何てことのない単純な仕事を毎日やり始めて2週間ほど経った頃、いつものようにドイツ産の高級セダンで現われた殿を出迎え、車のドアを開けると、殿から開口一番、

「あんちゃん、今日はちょっと飯食わないで待ってろよ」

 と、指示が出たのです。

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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!

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