【声優・鶴ひろみさん訃報】急性大動脈解離の原因と症状を医師が解説
2017年11月17日、アンパンマンのドキンちゃん役やドラゴンボールのブルマ役でお馴染みの声優・鶴ひろみさんが、16日夜都内の首都高速の車内で意識不明で見つかり亡くなっていたことが分かり、同日に事務所が死因は「大動脈解離」であることを発表しました。(参考)
急過ぎる訃報に、ネットでも悲しみの声が多く寄せられております。
今回は、急性大動脈解離の原因・症状・生存率・治療法などを医師に解説していただきました。
※報道では「大動脈剥離」と伝えられましたが、「大動脈剥離」という病名はないので「大動脈解離」と思われます。
大動脈とは
役割
大動脈は心臓から全身に血液を送り出す最初の血管です。
心臓から大動脈が出ており、そこから細い血管が枝分かれし、すべての臓器に血管が続いていきます。
■ 血液の流れ
脳や上半身に送った後向きを変えて下に進む→背骨沿いに下に向かう→お腹の臓器に送る→最後は両足に分かれていく
太さ
親指と人差し指で輪っかを作った場合の円と同じぐらいの太さがあります。
大動脈が裂けるとどうなる?

大動脈は絶えず血液が通る血管なので、壁は丈夫であり、内側から内膜・中膜・外膜の3層でできています。このうち、真ん中の中膜が2層に分かれて裂けてしまうのが大動脈解離です。
大動脈が裂けると、裂けた血管の層の間に血液が流れ込み、大動脈から枝分かれしている血管の根本まで裂け目が広がり、枝分かれした血管に血液が入り込めなくなってしまいます。
また、裂け目が心臓に及び、心臓の各部屋の仕切りをしている弁の動きが異常になることもあります。
血管が一旦裂け始めると、圧力によってどんどん裂け目が広がります。主に胸から背中を走るような激痛が現れ、血圧が下がりショック状態になった場合は、短時間で死亡することもあります。
声優・鶴ひろみさんが運転中に急性大動脈解離になった状況を考察
詳しい状況は発表されていませんが、高速道路の路上にハザードランプを点灯させて停車していたとのことですので、痛みを感じて車を停車させたのだと思われます。
脳に血液を送る血管がふさがれば意識はなくなり、そのまま時間が経てば死亡に至ります。心臓の弁の動きが異常になったり、心臓の周りに血液が溜まる心タンポナーデを起こせば、血液を送り出せなくなり死に至ります。
急性大動脈解離の原因
高血圧や動脈硬化によって血管に負担がかかり、もろくなることが最も多いですが、生まれつき血管が弱い体質である場合(マルファン候群、Ehlers-Danlos症候群)や、血管の炎症によって起こる場合(梅毒、ベーチェット病など)もあります。
急性大動脈解離の症状
症状はどの臓器に向かう血管がふさがってしまったかによって異なり、様々な症状が現れます。また、痛みが軽い場合もあると言われています。
胸〜背中
典型的な症状としては、胸から背中にかけて体を引き裂かれるような痛みが走ります。
脳
脳に至る血管がふさがってしまうと意識がなくなります。
腸
腸に向かう血管がふさがれば腹痛が起こります。
足
足へ向かう血管がふさがれば足が痛くなり歩けなくなります。
手
手に向かう血管がふさがれば、左右の血圧に差が出たり、脈が片方だけ触れなくなります。
急性大動脈解離の生存率
上向きの大動脈が裂けた場合
脳や心臓といった重要な臓器への影響が大きく、死亡率は30〜60%、発症後24時間以内は1時間当たり1〜2%の患者が死亡すると言われています。
下向きの大動脈が裂けた場合
脳や心臓への血流は保たれることが多く、死亡率は10%程度と言われています。
(参考:emedicine.medscape)
急性大動脈解離の治療・手術法
血圧を下げ、血管にかかる負担を軽くします。特に上向きの血管が裂けている場合は、急いで手術を行い、人工の血管に置き換えます。
急性大動脈解離の予防法
血圧が高いと言われている場合は、適正血圧を保つことが重要です。生まれつき血管が弱い病気があると分かっている場合は、定期的に超音波検査などで状態を確認します。
最後に医師から一言
急性大動脈解離は急激な胸の痛みや全身状態の悪化を起こし死に至り得る病気として、心筋梗塞と並んで重要な病気です。
似た名前の病気に大動脈瘤がありますが、異なる病気です。
(監修:Doctors Me 医師)