天才テリー伊藤対談「立川志らく」(3)談志のマネでなくセンスを盗もうと (2/2ページ)
テリー お客が沸かなくても「それでいい」って、どういうことなんだろう?
志らく 目の前で談志を聞いた時に、自分が落研でやってきたものとはまったく違って、音楽のようにちゃんとリズムに乗っけてしゃべっているんだ、ということに気づいたんですよ。私は父親も母親も音楽家で、ずっと音楽が流れている環境で育ちましたから、そういう勘どころはあったと思うんですけど。
テリー なるほど、演技じゃなくて、リズムが大事なんだ。
志らく はい。だから、10分ぐらいにまとめた噺を歌みたいに覚えたんですが、談志はそれを認めてくれたんだと思います。
テリー でもさ、いきなり1カ月の弟子が高座デビューしたら、他の兄弟子はさぞかし慌てたでしょう。
志らく 嫌われましたねェ。そんな中で、先輩の(立川)談春兄さんが、唯一私と仲よくしてくれたんですよ。談春兄さんは私より年下ですけれど、前座の頃から天才的にうまかった。いわゆる神童ですよね。で、向こうは向こうで「こんなにおもしろいことを考えるヤツがいるんだ」と私に近づいてきてくれて。すっかり意気投合して、2人でいろいろやりました。
テリー ああ、「立川ボーイズ」は、当時注目されましたものね。ところで、談志さんの芸って、すごくクセがあるじゃないですか。弟子の立場だと、やりにくいんじゃないですか?
志らく おっしゃるとおりで、周りにいる兄弟子たちは、談志のコピーみたいになってた人が多かった。だけど私は、ただマネるだけではしかたないなと思って、談志のセンスを盗もうと思いました。
テリー 例えば、どういうことですか。
志らく 談志が好きな映画や懐メロを吸収しました。実は、ミュージカル映画が苦手だったんですが、談志は大好きなので、片っ端から見ていったんですよ。そしたら徐々にそのおもしろさがわかってきた。そうやっていろんな世界が広がっていったのは、談志のおかげですね。