本好きリビドー(186) (2/2ページ)
例えば、同時代を生きた坂本龍馬の姿が写真として残っているのに対し、西郷には写真がない。イタリア出身の銅版画家が描いたといわれる肖像画(最も一般に知られている西郷の画像)は、彼の死後、親族の顔・体型をもとにして描写したもの。
いわば虚実織り混ざって後世に伝わっており、今となっては本当の姿は不明。そんな西郷の実像とは?
また明治維新後、不平士族の不満を外に向けさせるため西郷は征韓論を唱える。だが、この主張が大久保利通らの反対に合い、やむなく下野し鹿児島へ帰郷。そこで政府に半旗を翻し、西南戦争が勃発…。これが教科書における歴史。
だが、本当はそんな事実はなかったのではないか? それでは西郷の戦いの真相とは、一体何だったのか? などなど、新たな説も掲載され、読み応えある歴史読本となっている。
人物の肖像画やCG、錦絵、史跡の写真など、ビジュアルが充実しているのも大きな魅力だ。丁寧な解説と照らし合わせて読み進めると、タイムトリップしたような感慨を覚える。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)