玉木正之のスポーツ内憂内患「カヌー競技の薬物問題に見る五輪の“罪深さ”」 (2/2ページ)
しかも4年後の北京冬季大会も、開催に立候補したのは北京以外にアルマトイ(カザフスタン)だけ。夏季五輪も東京大会のあとは、パリ大会とロサンゼルス大会が決まっている。が、それは莫大な経費のかかる五輪開催に立候補する都市がなくなってきたことに危機感を抱いたIOC(国際オリンピック委員会)が、これ幸いとばかり二つの大都市に28年までの開催地を割り振っただけのことだ。
今やオリンピックは、青息吐息で延命策が続いているという窮状で、長期間保存していた五輪出場選手の尿検体から、北京大会やロンドン大会のメダリストや入賞者のドーピングが次々と発覚。そのうえアスリートの心までも「歪めている」となると、ここらあたりでオリンピックの「罪深さ」を考え直さないわけにはいかないだろう。
政治的思惑でもなく、各国のメダル獲得競争でもなく、世界中の人々が本当に開催して良かったと思うようなオリンピック‥‥、そして多くの新たな都市が、自分たちも開催したいと思うようなオリンピック‥‥それは、きっと質素で簡素で人間的な心温まる大会ということになるのだろうが、2020年は派手でなく、目立たなくていいから、そういう東京オリンピックにしてほしいものだ。
玉木正之