とっても可愛い青森の民芸品「金魚ねぶた」に実在のモデルがいるって知ってましたか?
江戸時代から愛される金魚ねぶた
金魚ねぶたは、青森県の民芸品として知られる金魚の形をした「ねぶた」です。ちょうちんを思わせる赤くて丸いボディに、これまた丸い目と大きく広がった独特の形の尾びれ、金魚のエラから出てくるあぶくを模したひらひらを持ったねぶたは何とも愛嬌があり、青森のお土産品としても不動の人気ですね。
「ねぶた」とは東北地方の夏祭りの一種で、人々が人形や扇形をした大きな山車灯籠を引いて街中を練り歩く行事のことですが、お祭りで引かれる大きな山車灯籠そのものを「ねぶた」「ねぷた」と呼ぶこともあります。
「金魚ねぶた」は、元々はちょうちんの形ではなく、灯籠として作られていたもの。いつ頃誕生したのかは定かではありませんが、文久年間(1861〜64年頃)のねぶた祭を描いた「津軽年中風俗画巻」などの絵に金魚ねぶたが登場していることから、この頃には既に祭に欠かせないものとなっていたことが分かります。
ねぶた祭の期間中には、子供たちが金魚ねぶたをちょうちんのように持ち歩いたり、バス乗り場、飲食店など、街中に赤い金魚があふれかえります。また「金魚ねぶた」をモチーフにしたキーホルダーや根付けの他、羊羹やうちわなどの関連商品も数多く販売され、定番となっています。
金魚ねぶたのモデルは幻の金魚「金魚ねぶた」には、モデルになった金魚が存在したってご存知ですか?
それは、江戸時代に津軽藩で誕生した品種の金魚「津軽錦」です。この金魚はオランダシシガシラと似た体型ですが、オランダシシガシラ特有の頭の肉瘤はあまり出ないのが特徴です。ランチュウのように背びれがありませんが尾びれは長く、金魚ねぶたも同様の姿をしています。
津軽錦という品種名は、1927(昭和2)年に弘前博覧会でこの金魚を鑑賞した秩父宮殿下によって命名されましたが、その後1948(昭和23)年に絶滅してしまいます。
何とかしてこの品種を蘇らせようとして、キャリコのオランダシシガシラである「アズマニシキ」と、背びれのない金魚の代表格である「ランチュウ」の交配が続けられ、ようやく1990年代に入り品種が復活しました。
しかし、キャリコ模様のアズマニシキを交配に使った影響もあり、「江戸錦」のようなキャリコ模様の津軽錦も、時々生まれて来るようになったのだとか。
「津軽錦」は、「津軽の誇り」という思いの込められた金魚で、藩の殿様や奉行などの一部の人にのみ飼育が許されていました。庶民はなかなかお目にかかれなかった珍しい金魚を何とかして見たい!という多くの人々の願いから生まれたのかもしれません。
金魚画像:Wikipedia
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