幕末流料理男子?話題作「幕末グルメ ブシメシ」の主人公・酒井伴四郎。その正体とは?

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幕末流料理男子?話題作「幕末グルメ ブシメシ」の主人公・酒井伴四郎。その正体とは?

NHKの時代劇に、瀬戸康史さんが主人公を演じた『幕末グルメブシメシ!』があり、話題となりました。また、原案になった『勤番ドラマブシメシ!』を鑑賞し、江戸時代の食文化に興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。

そこでふと思ってしまうのは、“男子厨房に入らず”の道徳があった武士階級の男性が本当にあんなに見事な料理をしたのかと言うことです。『ブシメシ!』の主人公・酒井伴四郎(ドラマでは酒田伴四郎)、れっきとした実在の人物なのです。本項では、その実像について紹介していきます。

伴四郎の本職は殿様のスタイリスト


酒井伴四郎は、天保5年(1834年)7月21日に紀州和歌山藩に生まれ、30石の禄高で召し抱えられた衣紋方の武士でした。衣紋方とは高貴な方々がお召しになる衣装を司る役職の事で、すなわち伴四郎は和歌山藩のお殿様に仕えるスタイリストだったのです。

私達がドラマやコミックで親しんでいる伴四郎の日記は、彼が万延元年6月から翌年の12月まで江戸に赴任した時に描き残したもので、万延元年6月~11月の半年を記した日記が現存しています。

倹約して江戸暮らし…下級武士はつらいよ

伴四郎が記した日記には、彼が仕事先で見たものや江戸の町で食したものばかりではなく、自炊の様子が非常に多く描かれています。それが『ブシメシ!』の主題となっているのには、深刻な事情がありました。

江戸に赴任した武士は単身赴任で、食事の支度をしてくれる家族や使用人も連れて来ていません。また、伴四郎のように禄高が高くない武士に料理人を雇うゆとりが無かったことは想像に難くなく、自分で炊事をする必要に駆られていました。

伴四郎の日記には、調味料は共同購入、ご飯は一緒に炊くがおかずを自前で用意した話が多く記されています。少ない稼ぎの中から倹約していたことが分かる記述から、彼の節約生活を窺い知ることが出来ます。

武士、厨房に入らざるを得ず!を楽しんでいた伴四郎

江戸時代は儒教の影響で、“男子厨房に入らず”として男性が自炊することを戒める風潮がありました。その筆頭である武士がご飯作りなどをする羽目になり、さぞや伴四郎さんは屈辱だったのではないか…と思いきや、彼はそれなりに自炊生活を楽しんでいます。

使い勝手の良い高級な鍋を買って嬉しかった話。野菜を煮込んでおすそ分けした話。大喜びで初鰹を調理した話など、伴四郎の料理男子ぶりは現代の自炊する男性に匹敵どころか、凌駕すると思われるほど精力的かつレパートリー豊富なものです。

日記に記されているのは、自炊ネタばかりではありません。同じ長屋で寝起きする大石直助との気さくなやりとり、食いしん坊でお調子者の叔父様こと宇治田平三とのおかずを巡る攻防戦など、思わずくすりとしてしまうのも見逃せないところ。その魅力はとても一言では言い尽くせません。興味のある方は、『幕末単身赴任 下級武士の食日記』がちくま文庫から出ているので、ぜひご一読をば。

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