ある女性が相続権を主張しDNA鑑定の為に掘り起こされたサルバドール・ダリ (2/2ページ)

心に残る家族葬



■エンバーミングの歴史は?

エンバーミングの歴史は古く、紀元前3000年ほど前の古代エジプトではすでに行われていた。古代エジプト王のミイラなども、エンバーミングされていたからこそ、現在、私たちが博物館などで見ることができるわけである。

古代エジプトのミイラ作成(遺体防腐処理)は、現在のエンバーミングとは異なり、乾燥させることに重きが置かれていた。まず、遺体は内臓や脳を取り出した後、大量の塩をまぶされたり、その上を布で覆ったりして、水分を抜かれた。十分乾燥すると体表面や腹腔などは腐敗を防ぐため天然のアスファルトや植物樹脂などを塗布して、棺に納められた。植物樹脂としては杉の樹脂や松脂などの、芳香性の高い針葉樹由来のものが多用されたという。これは、防腐作用だけではなく臭気を緩和するためだったのではないかといわれる。この時代にも、ミイラづくりの専門職つまり職人がいたのだ。

■エンバーマーと現在のエンバーミング

ネット検索すると、各国のエンバーマーのホームページやブログ、ニュース番組で取り上げられた記者の体験記などがたくさん出てくる。それらを読むと、彼らがエンバーミングの仕事をとても誇りにしていることが伝わってくる。

現在のエンバーミングは、死後硬直が解けた後、遺体を石鹸できれいに洗浄するところから始まる。そして、頸静脈から管を差し込んで真空ポンプで血液や体液をできるだけ吸い出すのだ。血管を経由して吸い出せる水分が無くなったら、その管から防腐剤を体内に送り込むのだ。ここまでが、エンバーミングの基本的な処置である。そのあと、腹腔内から浸みだしてくる体液を吸い取るなどいくつかの処理があるが、グロイ話なので割愛する。

■エンバーミングの問題点とは?

古代エジプトでは、防腐処理のために天然物由来の防腐剤を使っていたので環境への悪影響はほとんどなかったと考えられる。現在のエンバーミングで、問題視されているのが強力な防腐剤の使用である。その中で最も多く使われているのが、ホルムアルデヒド(ホルマリン)である。ホルムアルデヒドは、低濃度ではシックハウス症候群の原因物質であり、高濃度で暴露されると発がん性物質となる。棺が腐敗して防腐剤が地中に漏れ出せば人間だけでなくほかの生き物にも悪影響が出る。

■エンバーミングを拒否する人もいる

欧米では、自分自身の死が環境負荷にならないように遺書でエンバーミングを拒否している人もいるようだ。日本は遺体処理のほとんどが火葬なので、実感がわかない人も多いだろうが、エンバーミングの環境への影響の議論が少しずつ始まっているのである。

外国の遺体処理や埋葬方法やその歴史を調べているうちに、今の日本でほとんどの遺体が火葬されて形が残らないということは、千年後の日本の考古学者にとってサンプルや資料がなくて困ったことになるのではないかとちょっと心配になった。

「ある女性が相続権を主張しDNA鑑定の為に掘り起こされたサルバドール・ダリ」のページです。デイリーニュースオンラインは、海外などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る