亡くなった大杉漣さんの生前の言動と、そこから読み解く死生観 (2/2ページ)
■『足るを知る』――大杉さんの生きざまを思う
大杉さんの遺作となったテレビドラマの中で、大杉さん直筆の書が映されるシーンがある。そこには赤い『漣』の印とともに、こう書かれているのだ。
「足ルヲ知ル」
これはもともと老子の言葉で、「身分相応に満足すること」「身の程をわきまえ、むやみに不満を持たないこと」という意味である。
この書が映されるシーンは大杉さんの死後、追加で撮影されたものであるという。スタッフは何を思って、ただの美術道具であるこの書を取り入れたのか。
先ほどの言葉や この『足るを知る』という言葉には、大杉さんの生き方や死生観が如実に表れていると考えられるだろう。
常に自分に与えられた仕事を全うし、いつか来る終わりを受け入れながらも、そこに向かって着実に一歩ずつ進んでいく。そんな意志が筆者には感じられるのである。
長い下積み時代を経て、大杉氏が得たのは このように地に足をつけ、仕事との一期一会を「責任を持って楽しむ」というようなことではないだろうか。
■最期に…
あまりにも突然であった。あまりにも惜しい人を亡くしたと思う。それでもきっと大杉さん本人が 死んだことを悔しがることはないのであろう。彼は『足るを知る』ことを知っていたのだし、何より、それほど大切に一日一日を生きていたのだろうから。