「若乃花」を芸名に使えない理由。相撲の伝統的な四股名「止め名」「出世名」とは?

Japaaan

「若乃花」を芸名に使えない理由。相撲の伝統的な四股名「止め名」「出世名」とは?

2種類の「伝統の四股名」

相撲の力士の四股名は、実にバラエティ豊かです。「輪島」のように力士人生を通して本名のままという力士もいれば、師匠の現役時代の四股名から1文字取った四股名をつける力士もいますし、何度も四股名を変える力士もいます。また「曙」「勢」など漢字1文字の力士から、「千代の富士」「佐田の富士」など5文字の力士もいます。


行司の最高位である元・第33代木村庄之助の野澤要一氏の著書によると、昔の力士は四股名を「土俵の上でいつ死んでもいいように、生前につけられる『戒名』である」と言っていたのだそうです。

今回は、そんな四股名の中でも「伝統の四股名」とされているものに注目してみましょう。

部屋や一門の名力士の名を受け継ぐ「出世名」

皆さんは、これまでに「若乃花」という横綱が、3人いたのをご存知でしょうか?初代は元日本相撲協会理事長を務め、現役時代は栃錦とともに「栃若時代」と呼ばれる大相撲フィーバーを巻き起こした、第46代横綱・若乃花幹士。

2代目はその初代若乃花の弟子で、「若三杉」から横綱昇進に伴い師匠の四股名「若乃花」を襲名した、第56代横綱。そして3代目は、「お兄ちゃん」の愛称でも知られ、現在もテレビなどで活躍中の花田虎上氏こと、第66代横綱・若乃花勝。

両国の国技館通りを飾る「3代目 若乃花」の手形レリーフ

このように、同じ部屋や一門の中で番付が高い出世頭の力士が、その部屋や一門出身の横綱・大関・優勝経験者などの名力士の四股名を受け継ぐことがあります。その四股名を「出世名」と呼び、「若乃花」の他にも「朝潮」「小錦」「両国」などがよく知られています。

「出世名」を名乗ることは、非常に名誉なことです。しかし同時に、襲名した力士が引退後にタレントに転向する場合などには、由緒ある四股名ゆえ「芸名」として使用することが認められないなどの制約もあります。

このため、現在もタレントとして活動を続けている元大関・小錦はローマ字表記の「KONISHIKI」を旧芸名としていましたし、「お兄ちゃん」こと花田虎上氏も「若乃花」を芸名として使用することができず「花田勝→花田虎上」で活動することになりました。

あの「雷電為右衛門」も?「止め名」

そんな「出世名」に相当するような名力士の四股名であっても、様々な事情により慣例として襲名できなくなっている場合があります。これを「止め名」と言います。

例えば現在の貴乃花親方は、大関昇進に伴い、父で師匠でもある「貴ノ花」の四股名を襲名しました。しかしその後、貴乃花が引退して一代年寄となったために、以後他の力士が「貴乃花(貴ノ花)」を襲名することはできなくなっています。

また「出羽海」 のように、現在年寄名跡となっている四股名も、日本相撲協会の規約によって使用できない決まりとなっています。「雷電」「栃木山」「双葉山」など、現役時代に非常に大きな実績を残した力士の四股名についても、「止め名」とされています。

これらは明文化こそされていませんが、「素晴らしい力士の四股名は恐れ多くて名乗れない」ということに基づく暗黙の決まりです。一方で、「不祥事」などの事情があって引退した力士の四股名も、おそらく名乗りたがる力士が現れないであろうことから、事実上「止め名」の状態になると見られています。

相撲の世界にも、野球の「永久欠番」のような慣例があったのですね。

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

「「若乃花」を芸名に使えない理由。相撲の伝統的な四股名「止め名」「出世名」とは?」のページです。デイリーニュースオンラインは、相撲・大相撲・力士カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る