秋津壽男“どっち?”の健康学「アルコール依存症は自覚できるのか?『飲酒の量』では判断できない6つの基準」 (2/2ページ)
さらに、ニコチン依存とアルコール依存で異なるのが「気分の変化」です。アルコールには神経伝達物質の働きを抑制する作用があり、飲むと不安が解消されるなど多幸感をもたらします。いわば脳を麻痺させるため、よけいなことを語る、他人に絡む、暴力やセクハラを起こすなど社会的な信用を失う危険性をはらんでいます。
何よりも怖いのは、不安などのうつ状態を解消させるために飲むケースです。酒はうつ状態を悪化させるだけで治療薬にはなりませんが、多くの患者はこのことを理解できず、嫌な気分を晴らすため酒に頼るわけです。
アルコール依存症が治りにくいのは、身近に入手しやすい点にあります。同じ依存症でも禁止薬物などと異なり、酒は近所でいくらでも売っています。「一杯だけ」という安易な気持ちで飲み始め、最初の一口で「今日が最後」となり、翌朝に「またやってしまった」。この悪循環から抜け出せなくなります。
病気を認識させて断酒し、断酒によるストレスに対処するなど3~4段階を経るのが治療法です。今は専門施設や薬があるため、うつ病よりは治りやすい病気でもあります。依存症を克服したい場合、まずは都道府県の精神保健福祉センターや精神科・心療内科などに相談してください。
■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。