『西郷どん』鈴木亮平の“おっさんずキス”は狙った演出? (2/2ページ)

日刊大衆

 この放送回、ネット上でもっとも話題になったのは、石橋蓮司(76)が演じる川口雪篷と吉之助のキスシーンだった。意識を失うまでに憔悴した吉之助に、同じく罪人として島に流された雪篷が口移しで水を飲ませるというシリアスな場面だったのだが、このシーンには「これはおっさんずキス」「初めてのキスシーンがおじさんとは!」などとネット上が大騒ぎ。このことを面白おかしく扱うネット記事も出た。SNSをチェックしてみると『西郷どん』を見たことがない人の反応も見られ、大ヒットしたドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)効果で、多くの人が『西郷どん』に注目することとなったのだ。

■『プロフェッショナル 仕事の流儀』のパクリも?

 この演出も含め『西郷どん』は、物語のストーリーとは直接関係ないところでニュースになることが多い。たとえばこの放送では黒のバックに「守らにゃならんものが、まだある」と白文字だけを置き、吉之助の気持ちを描くシーンがあった。これにもSNSでは「プロフェッショナルかよ?」とツッコミの声が。どこまで意図したのかは分からないが、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)を思わせる演出だったのは確かだ。

 もっとも画期的だったのは4月1日の放送回だろう。この日は通常のドラマ放送をやめて、鈴木亮平と島津斉彬を演じた渡辺謙(58)のドキュメンタリーと対談からなる特番を放送したのだ。『西郷どん』の一部としてドキュメンタリーを流したことには賛否両論があったようだが、大河ドラマ初の試みとしてニュースとなり、それまでドラマを見ていなかった人を取り込むことに貢献した。

『西郷どん』には時代考証がおかしい、など多方面からツッコミが見られてきたが、少なくても“ニュースになる”ドラマとしては成功している。もちろん今回の雪篷とのシーンが話題作り目的だったわけではないだろうが、これだけ注目されたのだからNHKとしては万々歳だろう。これまでも大河の演出は話題になることは多かったが、『西郷どん』はもっともニュース化されるドラマといってもよい。今後、どんなシーンが“ニュースになる”のか、それを楽しみに見るのも『西郷どん』を楽しむ方法の一つではないだろうか。(半澤則吉)

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