更にロボットが進化した。人間の心だけでなくジェスチャーも読み取るロボット(米研究)
ロボットとAIの発展は目ざましいが、まだまだ人の手による操作は不可欠だ。だが、それもまもなく変わるかもしれない。
MITコンピュータ科学・人工知能研究所が開発した「バクスター(Baxter)」というジェスチャーと心を読み取るロボットによるブレークスルーのおかげだ。
Supervising Robots with Brain and Muscle Signals
・人間とやりとりするのと同じ感覚でロボットを操作
「現在、ロボットに言葉の壁のようなものがある技術で作業をさせようとするなら、私たちが歩み寄らねばなりません」と研究の主執筆者ジョセフ・デルプレト氏は話す。
「私たちがその言葉を学ぶ必要があるのです。キーワードを憶え、コントローラーやボタンを操作し、プログラムを学ばねばなりません。でも、人間とやりとりするような感じでロボットを操作できるようにしたいのです」
・脳波と筋電図で人間の思考と動きをロボットに読み取らせる
今回の研究は、脳波モニター(EEG)で人間の思考を読み取りバクスターを操作しようとしたこれまでの研究を前進させるものだ(関連記事)。更に筋電図(EMG)を組み込んで、バクスターが手のジェスチャーを検出できるようにしたのだ。

使用者は脳波キャップを着用。また筋肉の信号を検出するEMG電極も装着image credit:youtube
EEGヘルメットは「エラー関連電位(error-related potentials)」という脳の信号を検出する。これは人間が間違いに気が付いたときに生じるものだ。
つまり誰かがヘマをしたところを見て、「あれはだめだ」と呟く頭の中の声のようなものだと思えばいい。
エラー関連電位が検出されると、ロボットは直ちに今の行動を停止し、次の行動を指示する手の動きを待つ。

同時に筋肉の信号から、右か左か指し示す手のジェスチャーを検出するimage credit:youtube
・ロボットとのコミュニケーションを取りやすく
今回の事例では、バクスターは3ヶ所のうちの1ヶ所にドリルで穴を開けようとしているが、エラー関連電位を検出したバクスターは停止して、人間が手で左か右か示すまで待つ。
複雑かつニュアンスに富んだコミュニケーションに対応できるロボットへ向けた重要なステップだ。

ロボットが間違いを見逃した場合でも、使用者はジェスチャーで介入できるimage credit:youtube
「これまでより自然にロボットを操作できるようになったことにワクワクしています。色々な応用方法が思いつきますよね」とデルプレト氏は話す。
「今回の場合、監督機能に注目しました。もっとなめらかな連続的な動きが開発できると想像してください。そのうちに介護、あるいは建設現場や工場などでロボットの助手が登場するかもしれませんね」
・誰にでも操作可能
私たちがきまぐれに思いついたことすべてに対応するロボットをより適切に扱えるようにする今回の方法は、どのような種類のハードウェアにも応用可能で、理論的にはさっとEEGキャップを被れば、誰でもバクスターを操作できる。

プラグ&プレイ式なので、新しい使用者でもロボットの再訓練をせずに使えるimage credit:youtube
最終目標は、システムの改良を続け、より微妙な脳活動を検出したり、より繊細な手のジェスチャーを解釈できるようにすることだ。
これが実現すれば、さまざまな現場での実用化へ向けた扉が開くことになる。
思考だけで操作される工場ロボットが登場するかもしれない。ワインボトルを指差しただけで、それを取ってきてくれる家庭用ソムリエが登場するかもしれない。可能性は無限だ。
References:mit / youtube/ written by hiroching / edited by parumo