ロキソニンやガスター10は!? 市販薬「間違いだらけ」の飲み方、選び方
健康維持に心強く身近な存在、薬局。その中で何を選択し、どう服用するべきなのか――。専門家が明かす!
ひとたび店内に入れば、無数の医薬品が並ぶ薬局。多くの種類を前にして結局、手にするのは“いつもの薬”という人は多いだろう。しかし、薬局に置かれている医薬品も“進化”している。新潟大学名誉教授の岡田正彦氏は、こう話す。「近年、規制緩和が行われ、以前は医師の処方箋がないと買えなかった薬の一部が“スイッチOTC薬”として薬局で買えるようになっています。解熱鎮痛薬『ロキソニン』、胃腸薬『ガスター10』などが、その代表的なものです」
ますます便利になっている市販薬だが、実は注意点もある。「効きがいい薬は、副作用も大きいんです。私の知人の場合、ある解熱鎮痛薬を薬局で購入して服用したところ、全身に発疹ができて燃えるような熱さを感じ、一晩中、一睡もできなかったことがあります。受診すると、その解熱鎮痛薬に含まれるピリン系成分による薬剤アレルギーと診断されました」(前同)
病院でもらう処方箋とは違って簡単に買えるという気軽さが、実は危険を招くとしたら――。そこで、意外と知らない市販薬の正しい知識を紹介しよう。
医師の診断が必要とされる処方薬に対し、薬局で購入できる医薬品が市販薬だが、市販薬にも実は“ランク”がある。パッケージに記載してある〈第○類〉が、それのこと。数字が小さくなるほど、大きな効果が期待できる反面、副作用などリスクも大きくなる。「薬は、どんなものでも体にとって“異物”です。その異物が体になんらかの影響をもたらしますが、そのプラス部分が薬で、マイナス部分が副作用なんです。薬効と副作用は表裏一体なんです」(大手薬局社員)
そのため、効果とリスクが高い第一類医薬品は薬剤師の説明と、客が直接、手にできない場所に置くことが義務づけられている。夜に薬局に行くと、〈現在、薬剤師不在のためこの医薬品は販売できません〉などと隔離されている医薬品があるのは、このためだ。陳列場所やネットでの購入制限など、さまざまな条件があるので、文末の表で確認してほしい。
■風邪薬や頭痛薬、胃腸薬の賢い選び方
では、個別の薬それぞれの選び方はどうか。たとえば風邪薬は、その種類の多さに驚く人も多いだろう。しかし、基本的には、多様な症状にバランス良く対応した総合感冒薬と、発熱、のどの痛み、せきなど症状別の専門系の2つに分かれる。『市販薬は成分表示だけ見ればいい』(誠文堂新光社)の著書でもある医薬品登録販売者の岩井浩氏は、「特定の症状に絞った薬を飲んだほうがいい」と話す。
「薬はそもそも異物ですから、根本的には不要な成分をできるだけ摂取しないほうがいいわけです。なので、熱や頭痛がひどいなら解熱鎮痛薬(頭痛薬)、咳やのどの痛み、痰の絡みがひどいなら鎮咳・去痰薬、鼻づまりなら鼻炎薬を用いるのがいいでしょう」(前同)
また、風邪薬で注意したいのが薬の併用だ。「とりあえず総合感冒薬を飲んだものの、頭痛がするからといって頭痛薬を飲むのは避けてほしいですね。相乗作用で効き過ぎてしまい、たとえば熱を下げ過ぎるなどといった好ましくない影響が出ることがありえますから」(同)
前出の大手薬局社員が、風邪薬の“正解”をこう話してくれた。「鼻炎や咳がひどい風邪に優れているのは佐藤製薬『ストナ』シリーズで、総合力では『ルルアタックEX』と使い分けている薬局関係者は多いと思います。もし寒気がひどいなら、体を温める『葛根湯』など漢方もオススメです」
続いて頭痛薬だが、専門医は次のように話す。「頭痛は、緊張型頭痛と偏頭痛の大きく2つに分けられます。偏頭痛を市販薬で対処するのは難しいので医師に相談すべきですが、筋肉の凝りやストレスで発生する緊張型頭痛であれば、市販薬も有効です。現在の市販薬で効能が高いのは、もともと処方薬だった『ロキソニンS』。一方で胃腸への負担が大きいので、症状がひどいときにロキソニンを使い、常用薬としては胃腸への負担が小さい『イブA錠』がオススメ」
腹痛、飲み過ぎ、胃もたれと、お世話になることが多い胃腸薬。しかし、胃腸薬は用法によって種類が細かく分かれているため、「風邪薬同様、症状に合ったものを選ぶのがいい」(前出の岩井氏)という。
そこで、胃腸薬を6種に分けて、その特徴を表したのが最終ページの表だ。「胃酸過多なら『ガスター10』の一択ですが、ときには自分で見分けるのが難しい症状もある。その場合は、薬剤師や登録販売者に相談して一緒に選ぶのも手です」(前出の大手薬局社員)
また、肩こりや腰痛、ねんざなどの際に使用する外用消炎鎮痛剤、いわゆる湿布は、気軽に使いがちだが、注意点は意外と多い。「『ロキソニンSテープ』は医療用でも使われているように、その効果は大きいのですが、胃の不快感を訴える人もいます。また、同じく効果が高い『モーラステープ』は、使用箇所に直射日光を当てることで重篤な光線過敏症を引き起こす可能性があります。薬局での購入時に指導がある場合は、絶対に聞き流さないでください」(前同)
花粉症やハウスダストによるアレルギー性の鼻炎は、「『アレグラFX』が医療用と同成分なので、オススメです。眠くなりにくいのもポイント」(同)
■酒やコーヒーで飲むのは…
選び方と同様に知っておかなくてはいけないのが「飲み方」である。そもそも、薬にはさまざまな「形」があるが、“形の変化”は絶対NGだという。「たとえば錠剤の薬を“飲みにくい”“早く効きそう”などの理由で噛み砕いて飲む人がいますが、絶対にやめてください。また、カプセルの中だけを服用するのもダメ。胃で溶ける、腸で溶けるなど、その薬が最も効果が大きいように設計されています」(同)
もし、飲みにくい場合には服薬ゼリーやオブラートを使用したい。薬局で安価で売っており、粉用、錠剤用など幅広く対応している。さらに、テープとパップ、軟膏とクリームの違いなども知っておくと、薬をさらに効果的に使えるだろう。
また、市販薬と言えど、飲み合わせに気をつけなければいけないのは、医療用医薬品と同じだ。「胃腸薬と炭酸飲料は避けたほうがいいです。炭酸飲料に微量ながら含まれている酸が、胃腸薬の制酸効果を低くするおそれがあります」(岩井氏)
他にも、コーヒーと風邪薬はカフェインの過剰摂取になる可能性が、アルコールは睡眠薬の効果を異常に高める可能性がある。
年齢ごとの注意点も忘れてはいけない。「高齢者は体内の水分量が少ないですし、肝臓・腎臓機能の衰えで副作用が出やすくなります。成人の容量の半分~3分の1に減らすことも選択肢に入れてください」(医療関係者)
薬の間違った飲み方・選び方を避けるために、ぜひオススメしたいのが「お薬手帳」の持参だ。「薬の副作用歴やアレルギー歴などが記載してあるので、病院だけでなく、通常の薬局に行く際にも、ぜひ持っていってほしいですね。風邪薬やサプリの購入であっても、安全性が高まります」(前同)
冒頭で触れたように、本来は処方箋が必須だった「スイッチOTC」が購入可能になるなど、より心強い存在となる市販薬。実は、購入費用に対して税制面の“お得”もある。「医療費控除とセルフメディケーション税制の2つあります。併用できませんので、人によって、どちらかお得なほうを利用することになります。前者は、1年間に支払った医療費が10万円を超えるときは所得控除を受けられるというもの。一方、後者は対象医薬品を1万2000円以上購入した場合、その超えた額が所得控除となります。ただし、会社の健康診断を受けているなどの条件があり、購入時のレシートの保管も必要です」(同)
健康を守る身近な存在だからこそ、その理解を深めてほしい!
