アンチエイジングの切り札。免疫系の加齢を逆転させる薬が開発(米研究)
ある薬の治験を行なった結果、免疫系の加齢による影響を逆転させ、高齢者の感染率を40パーセント近くも下げることに成功したそうだ。
その薬を服用したからといって永遠に生きられるわけではないが、免疫系が強く長持ちすれば、寿命も健康寿命も長くなることだろう。
・免疫システムを活性化させる薬
この薬は「mTOR阻害剤」といい、インフルエンザワクチンへの反応を20パーセント強化する効果もある。
264名を対象とした試験では、1年間阻害剤を服用したグループが平均1.49回感染症にかかったのに対し、服用しなかったグループでは平均2.41回だった。
また目立った副作用もない。
この研究は非常に重要なものであるかもしれない。というのも、最近では医学の進歩によって人々の寿命が延びているからだ。
人は年齢を重ねると、免疫系が弱ってくる。しかし薬によってそれを若返らせることができるのなら、歳を取ってからも病気と戦える体が手に入ることだろう。
・免疫機能改善により老化を防ぐ
治験を行なった米マサチューセッツ州ノバルティス・バイオメディカル研究所(Novartis Institutes for Biomedical Research)のジョーン・マニック(Joan Mannick)氏は、「免疫機能は改善が見られたものの1つにすぎません」と話す。
免疫学者のデボラ・ダン=ウォルターズ氏(治験には不参加)によれば、将来的に人口のもっと多くの割合が今よりも長生きするようになるだろうという。
「しかし歳を取るほどにワクチンへの反応が鈍るなら、感染症から守られておらず、他人にも移してしまうような人たちが増えるでしょう」
治験からは、mTOR阻害剤を短期的に投与するだけで、ほとんどの中年が恩恵を受けられる現実的な可能性が示唆されている。
この研究はScience Translational Medicineに掲載された。
References:uwhealthyaging / theguardian/ written by hiroching / edited by parumo