麻原彰晃死刑囚ら死刑執行 公安当局が警戒するオウム残党テロ (2/2ページ)
上祐氏は今、“脱・麻原”を謳い、ひかりの輪を宗教団体ではなく“仏教哲学サークル”と称して講話会やセミナーを中心とした活動を行っている。オウム真理教やアレフとの関係については「分裂ではなく決別」したことを重ねて強調しているが、公安では依然として麻原信仰の影響下にあると見ている。
「そもそも、ひかりの輪は上祐がオウム時代に麻原から受けた“教えを受け継ぐように”との指示に基づいて組織されたと見られる。そのため、アレフと性格が異なるとは言えない」(前出・公安関係者)
「“脱オウム”路線は、すべて観察処分の取り消しを得るためのもの。ただし麻原がいなくなり、今後はアレフを意識する必要性が薄れることから、例えば、上祐をカリスマとした団体に変わる可能性もある。さらに、ひかりの輪では上祐路線に批判的な元会員による別組織の動きもある。そうした点からも、目を離すことはできない」(公安OB)
麻原の死刑執行についての感想を含め、こうした見方について当の上祐氏は、本誌の取材に対しこう述べている。
「ひかりの輪は、死刑確定直後から速やかな執行を主張していましたから、やっとこの日が来たということ。アレフから見れば私は裏切り者。だから『上祐に毒を盛れ』との声があったようなんです。命を落とす危険と向き合っていたのですから、信仰の対象が消えたことで、少しは緊張感から解放されたとは思います。また今後、宗教団体に変わるようなことは、ありません。宗教団体には教祖が必要ですが、私は教祖ではない。それに仏教というのは、教団が成立するまでは哲学がその本質だったんです。ヨガ等の実践を通し、仏教哲学を学ぶ、今のひかりの輪のあり方が、仏教の本来のあり方に近いと思うのです」
このひかりの輪については昨年9月、東京地裁がアレフと同一団体とは認められないとして、団体規制法に基づく観察処分を取り消す判決を出しているが、公安審査委員会は1月21日、「アレフと、ひかりの輪の双方の活動に参加する構成員がいる」とも指摘し、2021年1月までの処分更新を決定している。
最後に、公安当局が“第3のオウム”として注視しているのが、山田らの集団だ。同団体は松本家を巡るアレフ内部の対立によって約3年前に生まれたとされ、オウム真理教の古参信者を中心とする組織と見られている。
「アレフの中心にある松本家の中で起こった、麻原の次男派と三女派の対立により、三女派が飛び出して生まれたという。そうした経緯があるだけに、麻原信仰をアレフ以上に鮮明に打ち出しているのです。今年3月には麻原生誕祭を行い、信者らが“麻原尊師”を連呼するオウムソングを合唱する様子も報じられている」(前出・宗教ライター)
信者数は約30人と、その規模は3団体の中で最も小さいが、拠点はオウム真理教時代には重要な支部があった石川県金沢市。麻原が描いた最終目的は、残党たちの中に生き続けている。