北斎通りで「江戸」に思いを馳せる【本所七不思議めぐり(2)錦糸町編】 (2/3ページ)
例えば、南割下水には夜になると蕎麦の屋台が出ていたそうだが、中に一つだけ、行燈の明かりがついているのにいつまでたっても主人が現れないものがあるという「消えずの行燈(行灯がついていないというバージョンは「燈無蕎麦(あかりなしそば)」となる)」。今ならさしずめ自動化された無人コンビニ、みたいなものであろうか。
何もない所に提灯の明かりのようなものが現れ、追いかけると消えるがまた別の場所に現れる、という「送り提灯(ひとつ提灯とも)」も割下水周辺(どの割下水かは伝承によって異なる)で見かけられたとされており、明かりが拍子木の音に置き換わった「送り拍子木」も同様だ。
さらには、どこからともなくお囃子の音色が聞こえるという「狸囃子」も、いずれかの割下水付近で音が聞こえなくなる、というパターンになっている。
これで一気に3エピソードを消化する。生憎記者が北斎通りを歩いたのは昼間なので、蕎麦屋も提灯もお囃子も見聞きしなかったが、夜に歩いたとしても、都会の喧騒に紛れて見落としてしまうかもしれない。七不思議も成立しづらい時代だ。
足が突き出したり太鼓が置いてあったりそのまま北斎通りを両国方面に向かってひたすら進み続け、津軽稲荷やスカイツリーを横目に次のスポット「足洗い屋敷(足洗邸とも)」を目指す。

北斎通り沿いにある津軽稲荷。暗がりの中には何かがいるような気も(2018年7月記者撮影)
屋敷の天井から「足を洗え」と野太い巨大な足が突き出してくるという、なかなかパワフルなこのエピソード。本所七不思議の中でも比較的場所がはっきりしていて、当時の絵草子『七不思議葛飾譚』などにも「本所三笠町にあった旗本の屋敷」と書かれている。本所三笠町は現在の亀沢3~4丁目あたりで、ちょうど北斎通りの途中にあるのだ。錦糸町駅北口から10分もかからずにたどり着く。