プロレスラー世界遺産 伝説のチャンピオンから未知なる強豪まで── 「大仁田厚」毀誉褒貶を顧みない“邪道”のプロレス哲学 (2/2ページ)

週刊実話



 高田延彦などは「大仁田なんて同業者とは思っていない」「ああいうのがいるから一生懸命やってる人たちがプライドを持てなくなる」と、かつて雑誌のインタビューで罵倒している。

 FMWの旗揚げ当初、先に成功していたUWFを意識して格闘技路線を掲げたことも、嫌悪の理由であろう(FMWの「M」はマーシャルアーツ=格闘技の意味)。

 しかし、同じUWF系でも船木誠勝などは大仁田を受け入れ、リングで肌を合わせている。

 「いわゆる真剣勝負を求めてパンクラスを立ち上げた船木が、大仁田と電流爆破マッチで闘ったことには驚かされました(2016年と翌年に2度闘って1勝1敗)。ヒクソン・グレイシー戦後にさまざまな経験をして、人間が丸くなったということでしょう」(プロレスライター)

★大仁田に対する猪木の“拒否感”

 また、大仁田は、新日本プロレス時代に一度もフォール負けしたことがなかった初代タイガーマスク(佐山聡)から、タッグマッチながらピンフォール勝ちを収めている。

 プロレスを舐められることが大嫌いな佐山からすると、大仁田とは水と油になりそうなものだが、どこかで認める部分があるのだろう。

「プロレスと並行して武道を追求する佐山もそうですが、プロレスと他競技をまったく別の物と捉えている人の方が、大仁田のパフォーマンスや集客力、知名度を評価しているように見えますね」(同)

 プロレスにおける痛みや強弱、善悪などを過度にデフォルメする大仁田の手法を「まさにプロレス的で面白い」と受け取るか、「プロレスを馬鹿にしている」と捉えるかの違いとも言えようか。

 “プロレス最強”を唱えてきたアントニオ猪木が、大仁田を激しく嫌うのも、そうしたところから来ているのかもしれない。

 「基本的に誰でもウエルカムな人なのに、大みそかの猪木祭への大仁田の参戦要求だけは、かたくなに受け入れなかった。長州力戦へ向けての新日参戦の際も強硬に反対したようですし、その拒否感たるや相当なものです」(同)

 大仁田と、これを激しく嫌う高田と猪木。3人にはいずれも国会議員を目指したという共通点がある。
 また、この3人はプロレスラーとしてだけでなく、大仁田と高田はタレントとして、猪木は事業家として一般社会から認められたいという承認欲求が強いという面でも似ている。そういう意味では同族嫌悪というところもありそうだ。

大仁田厚
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PROFILE●1957年10月25日、長崎県長崎市出身。身長181㎝、体重100㎏(全盛時)。
得意技/サンダー・ファイヤー・パワーボム。ノータッチ・ヘッドバット。

文・脇本深八(元スポーツ紙記者)
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