鮮烈デビューの新人SH、橋本法史。赤い稲妻、日野を開幕戦勝利に導く。

ラグビーリパブリック

新人ながらクラブの歴史的勝利を演出。「この先も総力戦になると思っています」。(撮影/松本かおり)

 開幕戦。

 ルーキーイヤーのデビュー戦。

 そしてリザーブなし。

 いくつものプレッシャーがあったはずなのに、22歳のSHは、80分躍動し続けた。

 身長は164センチ、体重は70キロしかない。

 キレ味鋭く走り、防御を突破するさまは赤い稲妻。

 高速のさばきでテンポを作った。

 8月31日、クラブ史上初めてのトップリーグ試合を戦い、宗像サニックスブルースに33-3と快勝した日野レッドドルフィンズ。今季初戦で9番を背負ったのが橋本法史(はしもと・のりふみ)だった。

 試合後、細谷直監督が言った。

「きょうはSH(専門)のリザーブはメンバーに入れていませんでした。その中でゲームマネジメントもしっかりやってくれた。陰のMVPでしょう」

 リーグ選出のマン・オブ・ザ・マッチは2トライを決めたFLアッシュ・パーカーも、チームが勢いに乗るテンポを作り続けた橋本の貢献度は明らかに大きかった。

 今春、東海大を卒業したばかりのルーキーだ。

 チームにはNZ代表のキャップホルダーで、高い運動能力を持つSHオーガスティン・プルが加わり、この日も先発が予想されていたがケガもあって欠場。橋本は、巡ってきたチャンスをものにした。

 緊急時はSO染山茂範がSHに入ることにはなっていたが、本職のリザーブを23人に入れていなかったのは信頼の表われだろう。

「少しかたさはあったかもしれませんが、普段通り、練習でやってきたことを出せたとは思います。ここでプルさんがいたら…という空気になる不安もありましたが、そんなプレッシャーも感じることなくやれました」

 期待に応えられた喜びを、そう口にした。

 事前の分析により、サニックスの動きを控えメンバーたちが練習でくり返しやってくれた。橋本も、自分のやるべきことを頭に叩き込んでピッチに立った。

「相手のSHは結構走ってくるので、それを止める。バックスリーの動きをマークして、(防御ラインの)裏のスペースを見る」

 自ら動き、仕掛けるシーンも少なくなかった。前を見てプレーしたからこそだ。

「自分で行こうという気はなかったのですが、前が空いているのが見えたので」

 落ち着いてプレーできた。

 自身の強みを「さばき」と認識する。

 そこにライバルでもあるプル、後藤翔太コーチから受けた指導で肉付けし、トップリーグ仕様の9番を目指す。

「プルさんの相手を引きつけてのパスやディフェンス、広い視野。参考にしています。後藤さんにもスキルから始まって、まわりの動かし方などを教わりました」

 開幕戦。もっと攻めたい気持ちもあった。しかし暑さもある。チーム全体の状況を把握しながらキックもうまく使った。成長の証だ。

 東海大時代、1学年上の先輩、湯本睦(現NTTコム)の存在もあって3年生まで目立った活躍ができなかった。トップリーグチームでプレーを続けたい気持ちは強かったけれど、そんな状況もあり、なかなか思いは届かなかった。

 しかし人間万事塞翁が馬。「いいチームだと思ったし、SHとして成長できると思いました」と選んだ日野がトップリーグに昇格したのだから幸運だった。

「自分が入って(トップリーグに)上がれれば、と考えていましたが、結果的に良かった。ただ、これからもっとタイトな試合が続くと思うので、もっともっとレベルアップしないといけないと思っています」

 開幕戦の充実が今後を照らす。

『プル先発→後半、橋本投入でテンポアップ』の流れは本人の頭にもある。しかし、外国人枠を踏まえた起用法を考えれば、その逆もあるだろう。

「きょうの試合は、そうなったときの自信になりました」

 小学校3年生の時、熊本の八代少年ラグビースクールで楕円球を追い始めた。同スクール出身のトップリーガーは、ただひとり。熊本ラグビースクール(氷川中)、熊本西高とプレーを続け、国内最高峰リーグにたどり着いた。

「自分の力がチームのプラスになるようにしていきたい」

 次の目標へ、これまで同様、実直に歩み続ける。

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