火山噴火から着想。ジオエンジニアリングで気温を下げられることが判明。ただし副作用あり(米研究)
人類は、大気汚染とそれによって引き起こされる環境問題に気付くまで、数十年という月日を費やした。
現在、気温上昇による気候変動は着実に悪化している。それに対応すべく生み出されたのがジオエンジニアリング(地球工学)だ。
今回、アメリカ・カリフォルニア大学のバークレー・グローバル・ポリシー研究所が発表した研究によると、大気中に硫化カルボニルを放出することで気温を下げることができることがわかったという。
これは火山噴火により気温が低下したという事例から着想を得たアイディアだ。
ただしこの方法には副作用があるという。局地的な極端な寒冷化が起こり、農業に影響を与えるというのだ。
・火山噴火の事例から気温を下げる方法を発見
ジオエンジニアリング(地球工学・気候工学)は、人工的にに雲を増やしたり、地球を冷やす為の微粒子を撒いたり、宇宙に太陽光を反射する鏡を設置するなどといった技術である。
今回、カリフォルニア大学のバークレー・グローバル・ポリシー研究所は、大気中に硫化カルボニルを放出することで大気硫酸塩エアロゾルの上昇を引き起こし、地球温暖化を防ぐ事が出来ることを発見した。
この研究は、火山噴火という自然現象からアイデアを得た事が画期的な点だ。
火山噴火により地球の気温が低下する現象は、1991年、フィリピン諸島で起きたピナトゥボ山噴火が良い例だ。

ピナトゥボ山噴火 image credit:Richard P. Hoblitt
この噴火で、約2000万トンの二酸化硫黄を大気中に放出され、これによって発生した大気エアロゾル粒子により、太陽光が通常よりも2.5%多くはじき返された。その結果、地球全体の気温がおよそ1ファレンハイ(およそ摂氏0.5°)下がったという。
バークレーのチームはこの研究を確固たるものにするため、二酸化硫黄が噴き出した可能性のあるすべての火山噴火を調べてデータにまとめた。

更にサンディエゴ、スタンフォード、コロンビア大学らのチームと共同で105ヶ国のトウモロコシ、大豆、米と小麦といった農業の分野が1979年から2009年にどう変化したのかを調べた。
・気温を低下させても農業に影響を与え相殺されてしまう
その結果分かった事は「火山噴火によって引き起こされた太陽光の低下は農業分野に悪影響を及ぼし、地球温暖化を防ぐための利点を相殺してしまう」という点だ。
折角気温を下げることができても、農産物の不作を招いてしまっては意味がない。
ジオエンジニアリングはメリットもあるが、そのリスクは未知数であり、様々な危険をはらんでいるようだ。
実用化する前に、更なる調査と研究を重ねる必要があるだろう。
この研究は論文は『Nature』に掲載された。
・ジオエンジニアリングの歴史

「ジオエンジニアリング」という単語は、1965年、第36代アメリカ大統領リンドン・ジョンソンの科学諮問委員会で初めて使われた言葉だ。
その中で、二酸化炭素の排出で引き起こされる地球の気温上昇を食い止めるために「大気圏に微粒子を散布し、熱を反射させ地球全体を冷やす」という作戦が提案された。
当時は「ばかばかしい」、「ありえない」と相手にされなかったが、それから約30年後の1996年、アメリカ空軍はこの作戦について考慮しだした。
そしてそれが、超常現象や陰謀論を取り上げるAMラジオ「レイト・アート・ベル、コースト・トゥー・コーストAM」で取り上げられた。
散布される微粒子には有害物質が含まれているに違いない。政府は国民に毒を吸わせようとしていると、国民の不安感情を増大させていくこととなった。これが「ケム・トレイル」と呼ばれる陰謀論である。
気候を人為的に操作するというのは神の領域である。
すでに雲を発生させ雨を降らせたり、台風の進路を変えたりといった気候操作は行われていて、それなりの成果を収めているが、今後どんなリスクが降りかかってくるかは未知数だ。
・気象を操る。人類が天候をコントロールした10の歴史 : カラパイア
References:eurekalert / nature/ written by riki7119 / edited by parumo