レオナルド・ダ・ヴィンチが数学・物理学の研究などを記した「フォースター手稿」のスキャンデーターがオンライン公開中
「万能の天才」と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチ。
芸術の天才として、謎多き女性の肖像画「モナ・リザ」や、新約聖書の一場面を描いた「最後の晩餐」など、有名な作品を置く遺している。
科学者であり発明家としての天才でもあった彼の功績は、数多の手稿(コーデックス)という形で遺されている。
昨年、そのうちのひとつ「アランデル手稿」の高解像度データがオンラインで公開されたが、それに引き続き、今回は「フォースター手稿」第1巻、2冊分のノートが、ヴィクトリア&アルバート博物館から公開された。
・技師としてのレオナルド・ダ・ヴィンチ
ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館では、ダ・ヴィンチの遺した手稿のうち5冊を所有している。5冊の手稿は3巻にまとめられており、寄贈者の名を冠して「フォースター手稿」と呼ばれる。
フォースター手稿第1巻は、2冊のノートがひとつにまとめられたものだ。
第40葉までは、1505年にフィレンツェで書かれたもの、第41葉からは1487年~1490年のミラノ公国時代のものと考えられている。
ダ・ヴィンチは、1480年代前半、ミラノ公に対して自らを「軍の技師」として売り込んでおり、芸術的才能についてはほとんど言及していない。また実際に、ミラノでは陸軍・海軍の技師として働いている。

51~52ページ / image credit: Victoria and Albert Museum
・フォースター手稿の内容
ミラノ滞在中の1480年代半ばから、ダ・ヴィンチはその思考を紙に書き記すようになった。それぞれの紙には予測不可能なパターンで、科学者、あるいはデザイナーとしての様々なアイディアや発明が描かれている。
フィレンツェで書かれた部分には現在トポロジー(位相幾何学)として知られる数学の分野が含まれる。ミラノで書かれた後半部分は、水力工学に関係するメモやダイアグラムを含む。

image credit: 43~44ページ / Victoria and Albert Museum
この手稿は、元々は本の形に束ねる予定ではなかったと思われる形跡もある。
綴じた際に内側になる紙の端ギリギリまで書き込まれているものが多々あるのだ。また、使われている文字は鏡像となっており、右から左へ読む。16世紀のイタリア語であるらしい。

2~3ページ / image credit: Victoria and Albert Museum
・データ化の意義
現在の学術的側面からは、この手稿の電子データ化は大きくふたつの意味を持つ。
ひとつは手稿の保存という観点だ。
元の手稿は、500年の歳月を経て非常に脆くなっており、データ化することで、これ以上のダメージを与えずに研究に供することができる。
もうひとつはデータの共有という観点である。
今回電子データ化に用いられた技術は、IIIF(International Image Interoperability Framework: 画像の国際的に相互運用可能な枠組み)というものだ。ダ・ヴィンチの手稿は各地の図書館や博物館に所蔵されているが、共通の枠組みでデータ化することによって、研究者による相互比較が簡単になされるようになるのである。

15~16ページ / image credit: Victoria and Albert Museum
・今後すべての「フォースター手稿」をオンライン公開予定
今回オンライン公開されたのはフォースター手稿の第1巻だが、博物館では、ダ・ヴィンチの没後500年の節目となる来年に向けて、第2巻、第3巻のデータ化と公開準備が進められている。
References: The Art Newspaper / Victoria and Albert Museum など / written by K.Y.K. / edited by parumo