フラッシュはいくつどこに見えた?脳が過去を予測して現在の感覚に影響を与える「ポストディクション」錯視
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私たちの身の回りにあふれる情報の洪水を、脳は一体どのようにして処理しているのだろうか?これは込み入った疑問であるが、そのヒントとなる新しい錯覚が考案された。
音と映像の情報に騙された脳は、まるで過去に遡って認知を形成しているかのようだ。
脳が過去を予測して現在の感覚に影響を与えている「ポストディクション」と呼ばれる錯視を見ていこう。
まずは”うさぎの幻影(Rabbit Illusion)”と題された動画を見てみよう。
画面に + のマークが現れるので、ここを見つめながら、画面下に一瞬だけ現れるフラッシュの数を数えてみてほしい。
1.最初のテストは音のついた状態でのテスト
2.次は音なしの状態でのテスト。
3.もう一度音のついた状態でフラッシュの数を数える。3つ見えたという人は2番目に見えたドットの位置を選ぶ。A:最初に見えたフラッシュの上、B:最初と最後のフラッシュの間
The Rabbit Illusion
・視覚におけるポストディクションの発見
この錯覚では、脳が過去を予測して現在の感覚に影響を与えているという。
これを専門的には”ポストディクション(postdiction)”という。プレディクション(予言)の逆を意味する用語だ。
この動画では常に2つのフラッシュが表示されているが、音のついたテストの方では、ほとんどの人はピッという音にあわせて、3つのフラッシュが表示されたと感じてしまうのだそうだ。
このように感じる原因がポストディクションなのだという。
じつはピッという音はフラッシュが表示されてから、0.53秒後になっている。
だが過去の経験から脳はフラッシュの表示と音はセットだと思っているので、ピッとなってもフラッシュが見えなければ、そんなはずはないと見えたことにしてしまうのだ。

・起きていると思っていた出来事が実は起きていないことも?
これらは、私たちが起きたと思っていることが、じつは起きていないかもしれないという事実を教えてくれる。
「複数の感覚はときにノイジーで相反するものです。これらの情報を脳は、その環境について仮定を設けることで処理しています」と考案者の1人であるカリフォルニア工科大学のノエル・スタイルズ氏は話す。
しかし、その仮定が間違っていたりすると、脳はどうにか折り合いをつけられるように解釈しようとする。こうして事実とは違う認識が生じるのである。
著者の1人、下條信輔氏によると、「単複どちらの感覚においても、ポストディクションが重要なプロセス」であること、「音が視覚に影響する非常に稀な事例」であるという点で意義ある研究なのだという。
研究は『PLOS One』に掲載された。
なお、他のポストディレクションに関する資料はNTT コミュニケーション科学基礎研究所のウェブページで見ることができる。
NTT コミュニケーション科学基礎研究所 ~視覚におけるポストディクション~
written by hiroching / edited by parumo