死後10分以上脳が活動している人がいる。死後体験には個人差があることが脳波検査で判明(カナダ研究)
カナダの集中治療室で働く医師たちは、昨年とても変わった事例に遭遇した。
末期の患者4名の生命維持装置を外したとき、そのうちの1名で、臨床的に死が診断されたというのに脳がまだ活動していることが確認されたのだ。
ウェストオンタリオ大学の医師チームによれば、脈拍の消失や瞳孔の散大などによって患者の死を診断してから10分以上にもわたり、深い眠りにあるときに生じるものと同じ脳波(デルタ波)の群発が観察されたのだそうだ。
また死が個人個人でそれぞれ異なる体験である可能性も明らかになった。
生命維持装置を外された4名の患者の死亡診断前後の脳を脳波測定(EEG)で観察したところ、類似点がほとんどなかったからだ。
・死後10分以上脳波を確認
下のグラフは患者4人の死亡前後の脳波を測定した結果だ。0の位置が臨床的に死亡が診断された時点であり、生命維持装置が外され心臓が停止した時点を表す。

image credit:Norton(2017)
黄色っぽい部分が脳の活動を示しており、ご覧の通り、3名の患者は心臓が停止する前に徐々に消えていっている。患者2(Patient 2)の場合なら、死ぬ10分前には消失している。しかし、どういうわけか患者4はデルタ波群発が死後10分38秒生じている。
・ラットの研究で明らかになったデス・ウェーブ(死波)の存在
じつは2011年の研究で、別のチームによってラットで死後の脳波群発が検出されたことがある。
これはラットの首を切断してから1分間に渡り検出されたもので、”デス・ウェーブ(death wave:死波 )”と呼ばれる現象で、脳と心臓の最後が別々に訪れている可能性を示唆する現象である。

image credit:Bas-Jan Zandt
今回のチームも、同じような現象が患者に生じないか観察していたが、4人の患者には、心拍停止から1分以内に死波は観測されなかったそうだ。
・不可解な死後体験
これらすべてが非常に不可解な現象である。しかし死の瞬間にとても変わったことが起きているのだということは確かだ。
たとえば、2016年の研究では、人が死んでからも数日は1000もの遺伝子が機能していることが判明している。それらはただ生きながらえているだけなく、死後にいっそう活発になっているのだ。
・死んだ直後、2日間に渡り活発に機能する遺伝子の存在が明らかに(米研究) : カラパイア
なお医師チームは、今回得られた結果の意味合いは細心の注意をもって解釈しなければならないと述べている。
観察された対象はたったの1名だけであり、ここから死後の体験についてなにがしかのことを言うには時期尚早すぎるからだ。

・本当に死後体験はあるのか?さらなる検証が必要
心拍停止後数分にわたって脳波が検出されたことについてきちんとした生物学的な説明がつかないことを考えると、人為的ミスあるいは機器の異常など、たんなる計測ミスである可能性も否定できない、と研究論文には述べられている。
しかし一方で、それがどんな計測ミスだったのかどうかも説明できない。
計測に不具合があったことを確認できなかったからだ。そのため、この不可思議な現象が生物学的なものなのか、それ以外の原因に起因するものなのかどうか、はっきり言うことができない。
こうした死後に関する研究からは不思議な現象が報告されているが、死後の体験についての理解が進んでいるとは言い難い。
なにしろ、そうした観察結果ははっきり結論を出せる類のものではなく、生物学的な説明もできていないのだ。
それでも体や脳が、死というプロセスをどのように経ているのかについて、幾ばくかの光が当てられつつあるようだ。
この研究は『The Canadian Journal of Neurological Sciences』に掲載された。
References:sciencealert/ written by hiroching / edited by parumo