切符の支払い、社員証、飲食物の購入。マイクロチップIDの皮膚下移植が進むスウェーデン
2015年、社員の皮膚にマイクロチップを埋め込み社員証代わりにするというスウェーデンの試みをお伝えしたが(該当記事)その流れは更に進んでいるようだ。
これまで、すでに4000人が移植を受けたそうだ。
そのパイオニアとなったのは、バイオハックス・インターナショナル(BioHax International)社で、チップはもともとボディピアスの穴開けを施術していたユアン・ウステルンド氏によって考案された。
マイクロチップは米粒くらいの大きさで、注射器で手(多くは親指の上)に移植する。
・切符の支払いもマイクロチップで
2017年6月、スウェーデンのSJ高速鉄道では、100人程度が切符の支払いにマイクロチップを使用していると公表した。利用者は手に埋め込んだマイクロチップに直接切符をダウンロードする。
車掌はスマートフォンでチップをスキャンして、利用者がきちんと料金を支払っていることを確認するという仕組みだ。
Swedish rail operator accepts microchip tickets
・様々なサービスに利用されるマイクロチップID
これはチップ利用のほんの一例である。
顧客へのサービスだけでなく、従業員向けにこのシステムを導入する企業もあり、建物内に入るときのセキュリティチェックや、社内食堂で食事をするときの支払いが手をかざすだけで可能になる。無料でチップが提供されるケースも多い。
ストックホルムにあるスタートアップのエピセンター社は、社員にマイクロチップを移植し、ドアの開閉、オフィス機器へのアクセス、食べ物や飲み物の購入などを手をかざすだけで行えるようにした。
スウェーデンの公共交通機関はNFCという通信規格を採用している。
これは無数の銀行が採用する非接触型キャッシュカードをはじめ、国際標準の通信規格であるために、将来的にはさまざまな分野で利用されると予測される。

・プライバシーに懸念の声も上がるが、利便性を重視する人が急増
とても未来的なシステムだが、もちろん批判もある。
特に懸念されるのはプライバシーの問題だ。たとえば、昨年、SJ高速鉄道でこのサービスが実施されるようになってから、しばしば顧客が購入した切符情報のかわりにソーシャル・ネットワーキング・サービス「リンクトイン」のプロフィールが駅員に表示されることがあった。
しかしこうした問題にもかかわらず、プライバシーよりも利便性を重視するスウェーデン人は増えている。
手ぶらで乗り物に乗れるし買い物もできる。セキュリティカードがなくてもオフィスに入れる。いつでも皮膚から取ることができる。

・スウェーデンは個人情報の共有を受け入れている国
スウェーデンはかなり以前から個人情報の共有が受け入れられてきた国だ。
たとえば、国民の情報は社会保障制度をはじめとする政府機関に登録されている。税務署に電話すれば、他人の給与を知ることも可能だ。
そうした歴史が個人情報を保存するマイクロチップに対する抵抗感を緩和しているのかもしれない。
それでも、マイクロチップの急成長に懸念する声もある。
生物学者のベン・リバートンさんは、「現時点において移植チップで集められる情報は微々たるものですが、今後は増えるでしょう。データの保存場所が一ヶ所だけだと、それだけ悪用されるリスクも高まります」と話す。またチップによる「感染症や免疫反応」も考えられるという。
Swedish rail company swaps paper tickets for embedded microchips
written by hiroching / edited by parumo