室温で簡単に金を溶かす方法が考案される(スウェーデン研究)
image credit:Chalmers Physics/youtube
金の硬度は22と言われており、熱を加えることで50まで高める。それでもダイヤモンドの硬度、7140~15300よりはかなり柔らかい。
とは言え普通の状態(常温)で溶け出すほど柔らかくはない。
スウェーデン、チャルマース工科大学の研究者は、室温で金を溶かしてしまう方法を考案した。マジックではない。タネも仕掛けもない。
四角錐状に成形した金に電気を加えるだけなのだ。
Watch how gold melts at room temperature
・電場を付加することで表面の原子層が溶ける
ぱっと見は分からないかもしれないが、電子顕微鏡で拡大してみれば、たしかに金の外側にある2、3の層が溶けるのだそうだ。

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「表面の原子層をいくつか溶かしました。つまり、金原子が動き回って、整然と並んだ固体構造を崩すことに成功しました」とルドヴィグ・ デ・ヌープ(Ludvig de Knoop)博士は話す。
また、電場を取り除くことで溶けた原子層を固体に戻すことが可能なことも判明した。
コンピューターモデルによると、この現象は温度の上昇によって起きているわけではなく、強い電界によって生じているようだ。
科学としても非常に興味深い発見であるし、実用性まで期待できる。
エヴァ・オルソン(Eva Olsson)教授によれば、固体から溶けた構造に移行させる技術には、センサー、触媒、非接触部品など、さまざまな新しい応用方法が考えられるという。

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・ただし巨大な金塊を溶かすには強力な電気が必要
もちろん、電気だけで巨大な金塊を溶かすようなことは無茶だ。
デ・ヌープ博士の話では、そんな荒技を可能にするには250億V/mもの電界が必要になるそうだ。私たちが普段使っている電圧は100Vでしかない。
よってこの技術をどうにか悪用して、ルパン3世さながらに金庫から金を盗み出してしまおうと企んでも無駄であろう。
博士らの研究では、先端が数ナノメートルしかないような金の円錐に電気を流して溶かしている。
そのために、この技術を何かに応用しようと思えば、ナノメートル単位のスケールで細工を施さねばならない。
もっと大きな金を溶かそうとしても、現実的にそれだけの電気を得ることができないのである。
これについて詳しくは『Physical Review Materials』の研究論文で解説されている。
References:geek / engineering/ written by hiroching / edited by parumo