児童相談所の職員に“激烈な負担”を強いる日本の薄っぺらな「虐待対策」 (2/2ページ)
そう仮定すると、児相職員1人が対象とする潜在的な被虐待児童は、5000人×5%=200〜250人になる。前述した「職員1人で児童100件」という実態の倍の子供に対応しなければならず、厚労省の人口4万人に児相職員1人という目標では到底追い付かない。
もう1つは「20万人」という数字。3歳児健診を終えて、小学校に入学するまでの3〜5歳児のうち、幼稚園にも保育園にも通っていない子供が20万人も存在するというデータだ。3〜5歳児の人口は約316万人だから約16%にあたる。
「この16%という数字は、子供の貧困割合と合致しているのです。今、貧困の連鎖が問題となっていますが、これに虐待も連鎖している可能性が高い。となると児童虐待は、単に児童相談所の強化策だけでは済みません。自らの子供を虐待してしまう親を何とかしなければならないというのが根本的な課題です」(同)
東京地区の若手議員の会による「児童虐待防止プロジェクトチーム」が、小池百合子都知事へ緊急提言した文書がある。それによると《保護者が子供を虐待してしまう背景には、社会的孤立、経済的貧困、保護者や子供の疾患、保護者が過去に虐待を受けた経験など、さまざまな要因があり、児童虐待は保護者の「SOS」でもある》という指摘がされている。
つまり、児童虐待を防止するためには、子供だけでなく、保護者も含めその家庭ごとケアをしなければならないのだ。
こうして見ると児相の拡充より、「母子健康包括支援センター」の「ネウボラ」化を一刻も早く始めなければ、日本の未来はないのである。